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Asahidake Trail Keeper

6月のはなし

2018.06.28 12:00

エゾノツガザクラを見にきたんだけど…

おじさんは言った。


キバナシャクナゲと言われなくてよかった。

雪でやられたキバナシャクナゲは今、出汁をとったあとのかつお節をていねいに葉っぱに貼りつけた、そんな感じです。


6月9日から14日の間、旭岳では何度も雪が降り、吹雪でチシマザサが乱舞したあと、花は一つも残らなかった。

花はまだですか…


みんないなくなったよ


山に来る花好きの人たちに、そう答える毎日。


気温も上がらず晴れもせず、見えるのはかつお節ばかり。

もう見られないような気もしていた青空が見えたその日、エゾノツガザクラはその場所でだけ咲いていた。

教えると、ほんの数個の花に、おじさんはとても喜んだ。


おじさんは昔、富良野岳からの縦走の終わりに、それはそれはきれいなエゾノツガザクラの群落を見たそうだ。

それが美化された思い出ではないと、私は知っている。

花畑はもうすぐできるのです。

数年前まで、6月といえば、きれいに晴れることの多い月だったのに。

去年は氷づけになったキバナシャクナゲが、鼻かんだティッシュペーパーみたいになってたな…

そして今日も言われました。


あの花ティッシュペーパーみたいだったね。


晴れていれば決してティッシュペーパーではありません。

花はこれから咲きますよ。