「FABLE DE LA FONTAINE」André Hellé
アンドレ・エレの絵本について語る時に出来ることは、彼の絵に対する自分の愛情を、ただ、素直に告白することだけであるような気がします。
その極度に単純化された線を、玩具のように描かれる人々や動物の形を、色を、1910年代から20年代にかけて活躍し、それまでのイラストレーションとは一線を画した、今なお全く色褪せず、現代的な感覚さえ感じさせるこの作家の作品についてどれだけ言葉を並べてみても、エレの絵はただ単純に「楽しく可愛らしい」と言う、ただそれだけの、喜びの感情の中に収束していく、魔法がかかったような、いや、見るものに魔法をかける絵なのですから。
この「FABLE DE LA FONTAINE」の絵本は日本語でも翻訳出版されていますが、この元のフランス語版とは大きく異なります。
日本語版は1940年にアメリカで出版されたもの(マーガレット・ワイズ・ブラウンによる再編版(17話収録))をもとに作られたもので、しかもさらに再編集をしお話の数は13話になっています。ちなみに元のフランス語版は25話収録です。
この絵本は1922年に初版、次に1923/24年に再版され、この時にも収録作品が2つ入れ替わりました。「死」をテーマにしたものが消え、別の寓話が選ばれたのはやはり、教育的に…と言ったようなクレームが入ったからなのかも知れませんね。
この2つの初版及び再版はポショワール/ステンシルでの印刷(ポショワールを印刷と言っていいのかどうか疑問ですが…)、その後は1946年、49年にリトグラフ刷で出版がされました。
ちなみに鹿島さんの「フランス絵本の世界」において展示されていたものは1946年のリトグラフのものですが、こちらの当店の在庫商品は1923/24年のポショワールのものです。エレは1945年に亡くなっているので、存命中に出版された刷というのも貴重です。
リトグラフのものも美しいのですが、比べてみるとポショワールはインクの湿り気のようなものがより強く感じられ、その風合、感触には独特の魅力がありますね。
アンドレ・エレの楽しく可愛らしい絵本を、是非、美しい印刷の本で楽しんでは如何でしょうか。
是非オンラインストアの方でもご覧ください。
貴重は本ではございますが、価格は出来るだけ頑張らせて頂いております。(当店は実は結構安いんです…。日本で他に売っているお店がほぼ無いという本ばかりですので比べづらいかとは思うのですが…)
このアンドレ・エレの「FABLE DE LA FONTAINE」の絵本なのですが、こちらは当初出品時には1946年or49年の版(リトグラフ)と記載しておりましたが、本日紹介しようと、更に細かく色々調べてみたところ、更に古い刷であるの1923/24年のポショワール版であるということがわかりましたので、訂正させて頂きました。
商品情報はなるべく正確な記載を心掛けておりますが、確定情報が得られない場合にはお客様にとって損の無いよう、価値としては下方の推測でいつも記載をさせて頂いております。
当店のフランス絵本はこちらです。