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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第6回十字軍6フランチェスコのクリスマス

2018.06.29 12:09

1223年、総長を辞したフランチェスコは、以前のように少人数で旅をするようになった。その中で彼は主の降誕を再現しようと思いつく。クリスマスにあるキリストの降誕シーンのジオラマから絵画や映画の元祖が彼である。それは彼に寄進されたグレッツィオの洞窟の中で行われた。

その洞窟を馬小屋にして、かいば桶も置き、地元の皆を呼んできて、一緒に主の降誕をお祝いしたのである。そして見よ!集まった皆の眼には、かいば桶に赤ちゃんが眠っていて、フランチェスコがいとおしげに抱き上げるのが見えたという。これは奇跡と言っても集団催眠と言ってもいい。

しかしフランチェスコはまだ自分に満足していない。自分達は貧しい生活をして褒められるのに、本当の貧者達はまるで褒められたりしない。「我々は恥ずかしい!」と口にするようになり、会の修道院に「憐れな貧者です」と言って入って、施された食物を床で食べることもあった。

翌24年、フランチェスコは、寄進されたラ・ヴェルナ山に登った。8月15日の聖母被昇天を祝ってから、彼は一人谷の向こうに行った、古くからの兄弟レオーネだけが行くことができ、9月のある夜小屋に居ないので探すと、「主よ、あなたは何でしょう、役立たずの虫けらの僕の私は何でしょう」という師の声がきこえた。

下はフランチェスコがクリスマスを祝ったグレッツイオの洞窟