和久津のカン2s単騎に対する考察!勝又のブレないリスク回避戦略! RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 43-46回戦レポート
6/25(月)、6/28(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 43-46回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
▼▼▼43回戦:和久津のカン2s単騎リーチ対する考察▼▼▼
サッカーワールドカップ2018、グループリーグ最終戦。
日本はポーランドを相手に1点を追う展開で残り10分となると、ボールを回して負けることを選択した。
結果、日本は試合には負けたが、グループリーグのトータル成績で決勝トーナメント進出を決める。
サッカー素人の私には何が悪いのか全くわからないが、これには批判の声もあるのだという。
いくつか論点はあるのだろうが、少なくともこの「負けた状態での終盤のボール回し」だけを切り取って批判するのは間違っていると、素人目にもわかる。
温存のためにスタメンを6人替えたことも、ボール回しをして負けを選択したことも、決勝トーナメントを勝ち抜くために最も確率が高いと思われる選択をし、見事に決勝トーナメント進出という第1段階の結果を出した。
私には称賛の感情しか湧かない。
ワールドカップと時を同じくして、RTDリーグ予選もいよいよ終盤戦に入ってきた。
そこで、コメント大荒れの事件が起きる。
みなさんは、このリーチをどう思われるだろうか。
わざわざ単騎にしなくてよいメンツ手なのに、自分で2枚使っている単騎待ち。カン2sにも2s単騎にも受けられるため、私はこれをカン2s単騎と呼んでいる。
あまり見かけない形に、違和感があるだろうか。
では、このリーチ者は下手なのか。
結論から言ってしまえば、この2s単騎も、先のボール回し戦略と同じく、これだけを切り取って批判することは少し違うと思うのだ。
シンプルに考えれば、7巡目・先制・ドラ2という時点でリーチという選択は有力で、2枚しか待ちがないとはいえ、かなり悪いという評価にはなりにくいのである。
さらに今回は、下家に変則手もいて字牌単騎を選びにくいことから、手替わりする牌が極端少ない(具体的には有力な手替わりは2m5m引きぐらいではないだろうか)。
であれば、2s単騎や6p単騎でのリーチも、打1sのテンパイ外しと同じくかなり有力な選択肢なのである。
にも関わらず、多くの方から批判の声が上がったというのはなぜだろうか。
思うにそれは、RTDリーグにおいて、和久津がプロセス上でもポイント上でも結果を出せていないからではないかと思うのである。
プロセス上でも持ち前の鋭い攻撃はあまり見られず、ポイント上でもマイナスがかさんでいる。
そんな中で視聴者が違和感を抱くこの2s単騎リーチがかかれば、「えっ!?間違いじゃないの?」と思っても不思議はない。
仮にこのリーチの主が佐々木だったら、「まーた、ヒサちゃんそんなリーチかけてww」と、そこまで批判もなかったのではないかと思うのだ。
だから、このリーチは批判されても仕方ない、と私は思っている。
ただし、されるべき批判は、このリーチに対する違和感を丸出しにしただけの「なんでこんな中ブクレのカン2sでリーチかけるんだよww」というものではなく、この2s単騎リーチの価値をしっかりと評価した上で「43回戦に至るまでのプロセスが悪い中でのこのリーチは、焦りもあるのではないか」というものではないかと思うのだ。
これが、私なりのこのリーチに対する考察である。
そして、和久津にも和久津らしさという結果を出してほしいと心から願っている。
この半荘は、下位から追いついてきた勝又が南3局にこのテンパイ。
トップを目指せばリーチで決めにいくのも一考だが、こういう局面では極力リスクを取らず、2着以上に入ることを優先してきている勝又はダマテンを選択する。
そして、中をポンしてひとまず1s4sに受けると、場に高いソウズの下から待ちを動かしていく前に4sで2,000をアガり切った。
シーズンを通して一貫したリスク回避戦略で僅差のリードを守った勝又が、トップでさらにポイントを伸ばしている。
▼▼▼45回戦:全くブレない勝又の準決勝進出を決定づける2連勝▼▼▼
西家の勝又は、西をポンして南を打っていく。
RTDリーグ出場選手では、7pを打ってホンイツのマンガン一直線に進める打ち手が多いと思うが、ビハインドを背負ったこの点数状況でもシビアにラス目達也のオヤを蹴りにいくのが勝又流。
これをあっさりツモアガり、達也のラスを濃厚にさせたところで、今度はリーチで勝負に出てマンガンツモ。
トップ争いに加わると、下家でマンズのホンイツ仕掛けをしている和久津に対して4mを打たず、2s3sを外していく。
すると、カン5mテンパイから、今度は和久津に通るようになった4mを打ってダマテンに構える。これをアガってもトップを決定づけるアガリになる可能性が薄いため、和久津の仕掛けにかぶせるリスクに見合わないとの判断だろう。
しかし、石橋からリーチがかかったところで4pをアンカンすると、ツモ切りリーチといった。
4pアンカンで打点が上がり、ウラドラも2枚になったことで勝負する価値が出たというわけである。
そして、石橋から一発で3mを捉えて6,400。
勝又が、1巡1巡局面が大きく変化する難局を見事に乗り切り、準決勝進出を決定づける意味の大きな2連勝を決めた。
▼▼▼44回戦:後手が強い猿川の押し返し▼▼▼
序盤戦で大きくマイナスしていた猿川だったが、復活を遂げてきている。
復活のポイントは、後手での押し返しが決まるようになったことだと思われる。
いきなり2軒リーチに追いかけて3,000・6,000で先制すると、今度はオヤ番でリーチの現物待ちをダマテンにして5,800。
昨シーズンもそうだったが、終盤戦での猿川の押し返しは非常に鋭い。
徐々に鋭さを増していくスロースターターが、300以上あったマイナスを2ケタにまで持ってきた。
▼▼▼46回戦:平賀らしいハチャメチャな半荘▼▼▼
たろうが8枚見えの2m5m8mで追いかけリーチをかけると、これが一発ツモウラ3の強烈な6,000オール。
さらに、8,000を加点して、ダントツとなる。
一方、たろうのマンガンに飛び込んだ平賀は、南2局のオヤを迎えてわずか6,700持ち。
しかし、なんとここから平賀が6,000オール。
さらに4,000オール。
たったの2局でトップまで突き抜けてしまった。
平賀のハチャメチャぶりは本当になんなんだろうか。
自分らしい豪快な逆転劇に、平賀に久しぶりの笑顔が戻った。
これで準決勝進出ラインの4位が見えてきた平賀。
まだまだ降級圏内の7位もちらつく位置だが、平賀は「準決勝進出だけを見て戦う」と、強気に前だけを見つめる。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回は、7/2(月)21:00からWHITE DIVISION 47、48回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定