【ブログ】退団インタビュー:ウィリー・ルルー[FB]
退団インタビュー
ウィリー・ルルー[FB]
苦境からチームを救った世界基準の判断力。
今季、6位に終わったヴェルブリッツ。一時は10位まで後退したが、苦境から浮上するきっかけとなったのが、シーズン中盤FBからSOにコンバートされたウィリー・ルルーの存在だ。
トヨタでプレーして4シーズン。2019年日本開催のW杯で優勝した南ア代表メンバーでもある。正確なキックに、先の先を読み、こともなげに移動するポジショニング、滑らかなパス。間違いなく世界で一、二を争うFBだ。
開幕2試合は、南ア代表遠征でのコンディション調整で欠場したが、以後13試合に出場。第8節のGR東葛戦から、10番として先発するように。その前から、ティアーン・ファルコンと入れ替わって司令塔の位置に立つこともあり、そこで辛抱強くFWにボールを持たせ、身体を当て続けさせた。LO西村龍馬は「結果は出なかったけれど、あれでFWは“自分たちはいけるんだ”と自信を取り戻せた」と振り返っていた。
「自分が10番に入ると決まった時、とにかくシンプルに行こうと決めました。トヨタにはシンプルが合う。モールもスクラムも強いから、そこにフォーカスした。そうしたら、皆が自信を取り戻し始めた。兆しが見えてよかった」
瑞穂ラグビー場で観戦したファンなら、ピッチで周りに指示を出す大きな声が耳に入ったはずだ。今回の日本代表に入ったSH福田健太、日本代表候補のWTB髙橋汰地ら、若手が伸びたのも「ルルー先生」によるところも大きい。
「タイチ、ケンタとはいい人間関係を構築できました。タイチはトライをたくさん取るようになったし、ケンタもプレーが安定してきた。二人が代表に選ばれて、高いレベルでプレーする選手になることを願っています」
中でも今季、急成長を見せたのが日本代表入りした福田健太だ。5月22日に表彰されたリーグワンのベスト15でも、得票数はファフ・デクラーク(横浜E)の次点。日本人SHの中ではトップだった。ルルーが福田にアドバイスしてきたのが「考えろ、考えすぎるな」。
「考えすぎると動きがスローになってしまう。目の前の状況に対して考えすぎず、自分を信じて判断する。それが彼には合っている。今シーズン、彼がクイックタップからトライに繋げた場面が何回かあります。考えすぎないから、ああいうプレーが出来るのです」
今季限りでチームを離れるが、トヨタにいる間に犬が好きに。中でも柴犬に魅了された。
「なぜ柴犬なのか、私自身も理由はよくわかりません。今はまだ南ア代表で忙しくて難しいけれど、ひと段落したら飼うつもり。南アで手に入らなかったら、日本で買って連れて帰ります。名前は“ケンタ”に決めてます(笑)」
もともと動物好き。南アで「ケア・フォー・ワイルド」という野生のサイを保護する団体を支援している。
「南アでは乱獲でサイの生息数が減っています。24時間監視をして、密猟者から守っている組織です」
ピッチでも、フィールドを離れての行動も、世界基準。間違いなく、ヴェルブリッツを輝かせてくれた名手だった。
(写真説明)
シーズン中盤からは、司令塔としてチームに自信を取り戻させた
最終節の静岡BR戦は負傷で欠場したが、最終戦後のセレモニーで福田健太と