【ブログ】退団インタビュー :ジョー・ローンチブリー[LO]
退団インタビュー
ジョー・ローンチブリー[LO]
「大切なのはどの国でプレーするかでなく、誰とどんなチームでプレーするか」
チーム初のイングランド出身選手となったLOジョー・ローンチブリー。昨年11月に加入、出場4試合、1シーズンの在籍だったが、与えたインパクトは少なくなかった。
イングランド代表として2015、2019年のワールドカップに出場。キャップ数70を誇るリアルロックだ。昨年、12年間所属していたクラブ・ワスプスが経営不振で解散、日本にプレーの場を移した。2019年にワールドカップで来日した際、良い印象があったからだ。
初めて加入した北半球のリアルロックに大きな期待が寄せられていたが、12月25日、第2節の相模原DB戦で交代出場した際、右手人差し指を複雑骨折。当初はシーズン内の復帰も危ぶまれる状況だった。すぐに手術、回復も順調で3月18日、第12節のBL東京戦で戦列復帰した。
「もうすっかり指はよくなりました。
新しいシーズンからは、プロテクターなしで試合に出られます」
以後、パワーハウスとしてFWを支えた。スクラムでの押し、モールでの細かなプレーなど、秋山大地、西村龍馬ら後輩LOにとって大きな学びとなった。
「彼らはとても才能ある選手。私に伝えられることは伝えました。彼らが私から学んだことより、私が彼らから教えてもらったことの方が多い」
当初は家族で来日、富士山や京都に旅行するなど日本を満喫していたが、夫人と子供たちは出産のため一足早く帰国。本人も出産に立ち会うため一時チームを離れていたが、最終節の静岡BR戦に間に合うよう帰国。先発で出場すると、初トライも決めた。
「目をつむっていたら見逃すようなトライでしたよ(笑)」と冗談めかす。
スクラムの押しは強烈と誰もが認めていたが、その静岡BR戦ではスクラムで後手を踏んだ。
「スクラムは1対1で組むのではなく、8対8で組むもの。練習で常に8人で組んで、一人ひとりの役割を意識すれば、マシンのような強固なスクラムが組めるはず」
発祥国のセットプレーを支えたベテランの言葉は、よき教訓だ。
新シーズンはイングランドのハリクインズに活躍の場を移し、この秋、フランスで開かれるワールドカップの代表復帰を狙う。
「イングランドでラグビーをプレーする選手なら、代表を目指すのは当然のこと。もちろん、ハードワークが必要なことは承知していますが、その挑戦をする自分が楽しみでもあります」
ハリクインズ加入は、代表を目指すためには不可欠なものだった。
「日本に来て、トヨタでプレーして、これほど楽しいとは思わなかった」と振り返る。
「ラグビーは、どの国でプレーするかではなく、誰と、どんなチームでプレーするか、です。ヴェルブリッツで過ごした時間は短かったけれど、生涯忘れない。チームメートとは、これからもずっと繋がっています。帰ったら仲間に日本がどんなに素晴らしかったかを伝えます。リーグワンにもイングランドから選手が続いてくれたら」
遠くない将来、その言葉が実現する日を楽しみに待ちたい。
(写真説明)
最終節の静岡BR戦でパスを出すローンチブリー