Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

マヤ

ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission 8-③

2018.07.01 23:00

離れることなんて…できない。





恭介の夢物語を聞いて、隆二はそう自分に言い聞かせた。





恭介がまた眠ったのを見届けてから、一階のロビーに降りてきた。




缶コーヒーを買って長椅子に腰掛ける。




ロビーには夜間の救急外来にやって来たであろうひと組の家族が、真剣にテレビを見ている。




隆二は顔を合わせないように、テレビから離れた所に座っている。




「日本‼︎サッカーワールドカップ決勝トーナメント進出が決まりましたー!!!!!」



アナウンサーが放つ興奮冷めやらぬ声がロビーに響いている。



すると、ロビーにいた若い女性が声を上げた。



「え⁉︎あれ、観客席に座ってるの三代目の臣くんと隆二くんじゃない?」




女性の横に座っている女子高生も黄色い声を上げた。



「ほんとだ‼︎登坂くんと今市くんだ!カメラマンもわかってて写してるよね!」



「私服もカッコいいね〜!」




「おねぇちゃんめちゃ好きだもんね」




液晶画面にはお互いを見つめ、楽しげに会話をする臣とRYUJIが写っていた。




「臣…」




その名前をつい口に出してしまった。




隆二は静かに立ち上がり、苛立ちを隠さないまま足早に病室へ戻った。



隆二が立ち去ってすぐ、柱の影からひょっこり顔出した人がいる。




華奢な体つきで柱にもたれ、隆二の後ろ姿を見つめている。




「そろそろ仕掛けるか」





to be continued…