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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近代思想24-フロイト無意識の発見

2023.06.17 10:46

1895年、精神科医のジークムント・フロイトは、「ヒステリー研究」を発表し、ヒステリーの原因は幼少時の性的虐待が原因であるという説を提唱した。そして彼は「無意識」という概念を使うことになる。この考えは、人間は理性が支配しているという近代哲学にとって衝撃だった。

それどころかフロイトによれば、人間は基本的に無意識によって支配されている。先だってニーチェは、人間の道徳の根本は「好き嫌い」だと述べたが、フロイトはリビドーと名付けた無意識的な性的エネルギーによって人間の行動の根本は支配されているとして、ニーチェの考えを拡張した。

フロイトは唯物論的思想を持っており、人間の脳の働きが解明されれば、人間行動はすべて解明可能であるという考えを持っていた。今日では、心療内科や精神科がもう普通の医療となっており、人間の理性でコントロールできなくなるということは織り込み済である。

啓蒙は理性で迷妄を開くはずだった。ところが19世紀は理性は金銭欲や支配欲の言い訳となり、詭弁が横行し、人種主義・進歩主義・民族主義が、いかにも理性的に主張された。結局理性は支配者の都合のよい言葉として、感性が優位となり、暴力が正当化されてゆく。