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詩集『根の水』が生まれました

2023.06.17 22:59

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根の水は 地中の空

わたしたち いのちが

ひとつながりに 息づくところ


 ひとしずくを てのひらに

受けとるように

水底のこえに みみを すませるように

うまれた光景 32篇 


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わたしはわたしを追跡できない

いましも吐いた みじかい呼気

頬に受けた あまたの雨粒

一朶の雲に見入ったおもいさえも

またたくまにいまへ とけてしまって 

             「しろつめくさ」より


ひとみはうそをつけない

その一顆は とこしえの総力の萌しだから

ほんとうにものがたれるのは

おもてのだれかでありはしない

      「水のうまれるところ」より


いましものびる枝葉を

見あげるたびに

つちのなかのほしくずたち

ゆらめくから

わたしでないものなど

どこにも

ありはしない

       「地中の空」より

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目次


* (はてしなくうまれてはきえてゆくもの)

めざめ

ちひろ

あまね

しろつめくさ

万象

残月

ことのは

満天

月あかり

根の水

安堵

* (夜明けまえ)

うてな

重奏

地の銀河

うごかぬ旅

ひとみ

水のうまれるところ

千日の繭

やわらかな空き地

原石

六花

あたたかな結晶

追慕

十六夜

繊月

みずのありか

 汀

あさつゆ

返歌

* (地中の空)


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3冊目の詩集、『根の水』がうまれました。

2冊目から2年半、長短でははかれないそのあいだには、水平にも、垂直にも、ほんとうにさまざまなことがあり、それらひとつひとつがひとつながりのようにも感じています。

そのすべてを、『根の水』は、うけとめてくれました。必要としてくださるかたの手に、どうか、届きますようにーー


6月19日から、北鎌倉・喫茶ミンカにて、販売していただいています。見本もありますので、ぜひお手にとってごらんください。

喫茶ミンカの店主さんが装幀デザインを、ミンカスタッフが装画を、手がけてくださいました。カバーにひかれた曲線は作者による描線です。本のカバーと、その上に重ねたグラシン紙は、作者が手作業でつけています。

喫茶ミンカで購入された方には、装幀のために描かれた絵の、特製ポストカードがついています(2種からお選びいただけます)。このポストカードは、購入もできますよ。

お取扱店は「profile」「poetry」ページにて、随時更新しています。


著者:かさいあさこ

装幀:川端美香

装画:こまつばらめぐみ

印刷・製本:株式会社inuuniq

発行:山川草木舎(私家版)

判型:四六判

造本:並製、カバー+グラシン紙つき    

※カバーに箔押し(タイトル、著者名、著者による描画曲線)

※カバーとグラシン紙は、作者が手作業でつけています

収録作品数:29篇+序詩2篇+「地中の空」(おわりに)