キッチンつくりました
こんばんは。
SNSでは既に発表しているのですが、この度、カレーをもっと研究するためのキッチンをつくりました。アトリエ、ラボ・・・諸々呼び方を検討したんですけど、どれもわたしにしてはかっこよすぎるので、シンプルにキッチンと呼ぶことにしました。kitchen and CURRY、面白すぎるスパイスカレーの世界を研究し発信するわたしのキッチンです。
なぜキッチンをつくるに至ったのかを、少しだけ聞いてください。
わたしがカレーをやるきっかけを作ってくれた天風のおっちゃんが、いつだったか青山有紀さんのスタジオに連れて行ってくださったことがありました。1階はお菓子屋さん、2階は有紀さんが撮影などで使われているキッチンスタジオがあり、わたしはその素敵な場所に心奪われました。いつかわたしもカレーを研究するためのキッチンを持ちたいな〜、と漠然と考えるようになりました。その後、ありがたいことにメディアにも取り上げていただいたり、幸運の連続でたくさんのイベントでカレーを作らせていただきました。わたしの分際で本当に心苦しいのですが、ご予約で埋まってしまい、ごめんなさいする回数が増え・・・。天風時代から来てくださっていた常連さんが「またゆきなのカレーを食べたいなぁ」とボソッと呟いたのを聞いて、食べたいと思ってくださった方にもっとカレーを届けたいという気持ちになっていました。いつかキッチンが持てたら、こんなことやあんなことをやりたいな。夢や妄想は膨らむばかり。
その”いつか”は去年の秋にやって来ました。
去年の1月〜4月まで週3で間借りさせていただいていたカレーの惑星のシェフ、まりさんが退職されることに。あの場所はどうなるのかなぁと思った時に、「そうだ!思い入れがあるあの場所をわたしのキッチンにできたら」と無計画にも考え、カレーの惑星のオーナーであるFさんに相談することに。Fさんはわたしの無謀な思いつきを快く受け入れてくれ、いろんなやり方があるから考えてみようと言ってくださいました。そのやり方の一つとして、新代田にあるお惣菜屋さんをたたもうと思うのでその場所も候補に入れてみないか?と提案をしていただき、その日のうちに物件を内覧させてもらいました。こじんまりしていて、手頃な大きさ。そして何よりも、物件の入っている趣ある環境に心奪われ、ここでやりたい!とほぼ一瞬で決めました。大体の家賃をお伺いし、家に帰ってから色々と計算笑。
工事費用はどうするんだ、貯金はあんまりない、そもそも家賃払っていけるのか、可愛い猫たちを守らなければ、今やってるカレー以外の仕事はどうするんだ、などなど。不安をあげればキリがありません。夜、眠れなくなり、いろんなことが頭をぐるぐる駆け巡り、朝を迎えたりすることもしばしば。でも。いろんなことを考えたけれど、やっぱりチャレンジしてみたい、という結論にいつも落ち着くのでした。お金は公庫から借りようと手続きを進め、事業計画を飲食のプロの人に見てもらいながら作りました。設計会社さんにこんなキッチンを作りたい、と夢いっぱいを語って見積もりを作ってもらうと、自分の想定していた3倍くらいの金額が出て来て震えたことも。VEしながらもここだけは譲れないぞという境界線を見出しながら、空間をつくることの難しさと楽しさを学びました。
初めてのことだらけで、何からやっていいかわからなくなり、プラスで京都競馬場の大きなイベントの準備にも追われ、本当に4、5月は全く記憶がないくらい忙しく、心に余裕がなくなってベッドで三角座りして泣いてました。わたしはこんなに大きな借金をして、それでもキッチンを作りたいんだっけ?って何度も自問自答。最終的には地元の友達みんなマンション買ってるしな、とか、子どもいるしな、とか謎の引き合いを出して来て自分を納得させ、わたしはマンションも買わないし、子どももいないから、キッチンくらい作っても大丈夫と言い聞かせていました。(今も言い聞かせている)
5末に引き渡ししていただき、6月から試作や練習をし、半ばには区の検査も通りどんどんと思い描いていたキッチンが出来上がって来ました。前から描いていた通り、ここはわたしの研究のためのキッチン。試作をし、新しいカレーを生み出す場所。そして月10日ほど、キッチン開放日と称して、ここでみなさんにカレーを振る舞おうと決めました。プレオープンも地元の方向けに何度かやってみました。みなさん楽しみにしていたよと声をかけてくださって、週に2日くらいしか営業しないことを残念がってくださいました。お客様がキッチンでカレーを食べてくつろいでくださる姿を見ながら、嬉しさでニヤついてしまうのを押さえるのに必死です。たくさんの人のおかげで思っていた以上に素敵な場所になりました。
「どうせ男が金出してるんでしょ」とか知らないところで言われてるらしいんですけど、そんな人いたら紹介して欲しいくらいです笑。わたしにとっては一世一代のチャレンジです。どうか、あたたかく、とまでは言いません、ぬる〜く見守っていてくださると嬉しいです。
これまで通り、わたしは流しのカレー屋です。いろんな場所で、いろんな人に自分から会いに行って、カレーを食べたり一緒に作ったりしたいです。新しいカレーを作って、それで、食べることが楽しいことだ、食べることって尊いことだということを共有したい。その拠点がkitchen and CURRYです。
長くなってしまいましたが7月のキッチン開放日をお知らせします。予約制ではありません。週に2回は開けるつもりなので、みなさんのんびりお越しください。
住所は東京都世田谷区羽根木1-21-24亀甲新い52です。
電話番号はありません。
キッチンが皆様に愛される場所になりますように。