Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

日吉神社

竜舌蘭の花

2018.05.31 22:00


 昨今では、御朱印ブームやパワースポット巡り等により、氏子・崇敬者以外の方々の神社への参拝が増えてきました。

 一過性のことであれども、こういった機会が神社への関心とご理解を深めて頂く、良いきっかけとなればと願っております。


 先日、御朱印を希望される方からメールを頂き、「この度、○月○日に参拝を予定しておりますので、併せて御朱印を頂ければ幸いです。」といった内容でした。

 メールの文面を拝見して、十年以上前に、ある御老人からお聞きした話を思い出すとともに、大変うれしく思いました。


 今から約百年ぐらい前に、山陰のとある禅宗の寺院に、数十年に一度開花すると云われる「竜舌蘭(リュウゼツラン)」の花が開花したそうです。

 当時は、竜舌蘭という植物自体も珍しく、その花は数百年に一度しか開花しないといった誤った情報が伝わっていたりもして、周辺では大騒ぎとなりました。

 新聞社が取材に来たり、多くの見物客があふれてお祭り騒ぎとなった為、当時の県知事の耳にも入り、その花を見物に来ることになったそうです。

 県知事が来られるという事で、地元の役人や名士といった方々が出迎えしようと山門に集まりましたが、そこにお寺の住職の姿は見えませんでした。

 いっそう人だかりも増え、大勢の人々が待ち受ける中、お寺に駆け付けた知事は、真っ先に竜舌蘭の花へと向かい、天高くそびえ、猛々しく咲く花をみて「素晴らしい。」と感嘆の声をもらしました。

 すると、そこに姿の見えなかった住職が現れ、本堂の方を指し示して「あちらにはもっと素晴らしいものが御座いますよ。」と声をかけられました。

 知事はアッという声を上げたかと思うと、恥ずかしそうに本堂へと向かわれたそうです。



竜舌蘭(リュウゼツラン)

メキシコ原産 リュウゼツラン科の常緑多年草で、葉の形は剣のように鋭く、肉厚で縁にはとげがある。長さは1m以上になることもある。開花はその生育度合によるが、約30年~70年に一度と云われ、高さ5m~7mの花茎を伸ばして黄緑色の花を円錐状につけて咲き、結実すると枯れる。