2018.7.1 天理の背中は見えた!後はキャッチアップするのみだが・・・
兎にも角にも、暑い・暑い・暑い同志社大学田辺グランドであった。30度Cを大きく超えていた。現時点の実質関西NO.1を競う試合であり、炎暑の中、同グランドには数百人ものファンが押し掛けた。8割方が同志社ファンと見受けられた。実質的にAスコッドの春シーズン最終試合。関西大学ラグビートーナメント戦の決勝だが、ほとんどの方は関心無さそうだ。
筑波には破れたものの帝京・明治・早稲田を破り破竹の勢い(現時点で大学NO.1の実力か?)を誇る天理大学に、上げ潮の同志社大学がどこまで肉薄するかが、ファンの最大の関心事だった。大学ラグビーにおける同志社の「現在のポジション」を占う意味で絶好の機会である。
特にパワーのある大型外人選手3名(今年度から3名出場可)を擁するチームとの対戦は、今シーズンの同志社には初めてのことであり、その帰趨が注目された。試合開始当初、さすがに天理のLO・No.8・WTBの3選手は、そのパワーに物を言わせ存在感を誇示し、同志社は何とか二人掛かりで阻止した。
パワーに物を言わせるだけの存在ではなく、チームプレー優先に徹した姿は、天理の強さ具現していた。流石である。
ただ、前半20分を過ぎたころから3人の外人選手は、ほとんどと言って良いほど目立たなくなった。その態度、その姿を間近に見ていた私は、灼熱(?)の暑さの中、試合の流れ(自校勝利)が決まったと判断し、明らかに"手抜き”したようにしか思えなかった。
本気でフル稼働されたら誠に怖い存在であることを実感した次第だ。あんなものでは絶対にないだろう。決して油断すべきではない。
一番心配していたスクラムは、格段に強化されて来ており、劣後するどころか不安定ながらもむしろ優位に推移した。ある意味嬉しい誤算であった。
ただ、セットプレーでは、LO堀部選手を病気で欠いたこともあり、ラインアウトでミスが目立った。正確無比な天理のラインアウトに対し、何と不安定なことか・・・。
モールは、攻撃も防御もまずまず互角と言って良いだろう。
試合の明暗を大きく分けたのは、京産・明治・慶應の各戦で見せたディフェンスからの一発ターンオーバーの流れを逆に天理にやられてしまったことである。敵陣深くから、何本、一発ターンオーバー(被得点)されたことだろう。十八番が完全に敵のものとなった。それだけ天理のディフェンスは底堅く着実で、攻守の切り替えが素晴らしかった。
同志社は、安定したスクラムから高速で大きくバックスに繋ぎ、密集でも細かいパスで天理を翻弄したが、無理して繋いでいる印象が強かった。天理の出足はとても速いとは言えなかったが、着実かつ堅実に防御を重ねた。
試合結果は、D17:45Tで天理の圧勝となった。点差ほどの実力差はないと言うのが、大方の同志社ファンの見解であり、「背中は見えた。後はキャッチアップするのみ!」というのがこの試合からの印象であろう。
ただ、私は、平均的同志社ファンよりも、はるかにペシミスティックである。天理は、トリッキーなプレーも少なく、底堅く奇麗な骨太のプレーを貫いた。実にオーソドックスなラグビーであった。
しっかりとチームのベクトルを全員で一致させていた。高いレベルの「チーム規律」が見えた。そこには、私に言わせれば、レスペクトすべき「王者の風格」があった。
特にこぼれ球への天理の集中力は極めて高く、イーブンボールは100%と言って良いくらい天理が奪った。その結果、同志社が攻めて攻めての末のミスプレーは、天理の一発ターンノーバーの独走トライに繋がり、お株を奪われた格好となった。
天理大学の小松監督ガバナンス体制は、パワハラとは対極の位置付けにあり、盤石の様に思える。ある意味、同志社を上回っている。もちろん、内部事情は知る由もないが、傍から見る限り、コーチ、選手、スタッフのたたずまいが優れている。味方のピンチに軽々に「やばい、あかん・・。」なんて叫ぶ馬鹿な輩はいない。地味ながらしっかりと王道を貫いている。
春シーズン、同志社は数試合を残すのみに至った。これまでの対戦成績(A~D)は、23勝5敗(セブンズ含む)。予想以上の高い勝率だが、こんな年の同志社が強いことは、我々ファンの経験則で知っている。夏合宿で大化けなんて単なる夢に過ぎなく、実現した試しがない。
栴檀は双葉より芳しいのだ。春に強いチームは秋にも強く、春に弱いチームは秋にも弱い。その結果、おのずから秋本番への期待が膨らむ。
試合を撮影していて、いつも感じることがある。撮影者の前を選手やMG達が絶対と言って良いほど横切らないのが、(同志社を除けば)唯一天理大学である。名前は出せないが、何の配慮もなく立ちはだかり、嫌がらせで撮影妨害かとさえ思う(←というのは誤解でしょうが・・)ほどの大学も関西リーグに2校ある。
現在の同志社ラグビーは、完成形とはほど遠い感じである。天理に較べて、まだまだプレーの一つ一つが軽く薄っぺらいと思った。天理の一糸乱れぬチームプレー、特に集中力には特筆すべきものがあり、キャッチアップには大きなディスタンスを感じた試合であった。
点差通りの実力差だったと言った方が、正しいのかもしれない。
まだまだ天理の背中は遠いと言うべきか、同志社の伸びしろは大きいというべきか・・。
私は両方だとは思っているが、後者に期待を掛けるしかない。
ううむ、最後は、夏合宿の成果如何と監督の戦略・戦術が大きく問われることになりそうである。少し神頼みに近い話だが・・・。
(2018.7.5:F)