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西郷隆盛の何が偉大だったのだろうか?

2018.08.01 04:39

今年のNHKで放送している「西郷どん」。とても面白く、役者さんたちの演技も良く、毎週視聴するのが楽しみだ。

西郷隆盛という人物を、今までのドッシリとしたタイプで描くのではなく、あくまで熱狂的で青臭く描いていることに新鮮さを感じる。


実際、西郷隆盛という人はどんな人間だったのだろう。

歴史の教科書的に言えば、明治新政府設立の立役者、江戸城無血開城を為した人物。また征韓論を説き、論争に破れて西南戦争を興した首謀者、と言われている。

表面的に見ても大人物だが、何故彼がここまでの偉業を成し遂げることができたのだろうか。

歴史を紐解いてみた時に、なんらかの才能があり表舞台に立つことができる。

よくあるのが、出自だ。つまり家系であり、そこから受けられる教育と人脈を駆使して、歴史的事業を成す。

また武力、もそうだろうか。わかりやすく言えば腕っぷし。さらに言えばそこにプラス戦略的思考の長けた才能のある人物が大活躍することもある。


明治時代を作った人間は、知力、情報量と発信力で事を為した人間がたくさんいる。たとえば西郷と同郷の大久保利通などはその最たるものだと思うし、吉田松陰などもそうかもしれない。


しかし、西郷隆盛は、よくよく考えるとそのどれにも当てはまらない。体格は本当に大きかったそうだが、特段武力が強いわけでもない。(そもそも少年期に怪我をして、刀を振り下ろすことすらできなかった)また、出自が特別良いわけではない。武市半平太のように天才と称される知力があるわけでもない。

また坂本龍馬のような情報収集力と発信力があるわけではない。


同時代の人間は、西郷を以下のように評している。


島津斉彬

「身分は低く、才智は私の方が遥かに上である。しかし天性の大仁者である」


大隈重信

「西郷は強固なる意志を有せるに係わらず、人情には極めて篤かった。この情にもろい結果が、西郷の徳をして盛んならしむると同時に、その生涯の過ちを惹き起したのであろうと察するのである」


山縣有朋

「西郷という人はマアどうしても非凡の人間である。その果断明決、能く事の利害を察し、そうして能く之を実行する力を持っているというものは到底尋常の人間で出来ないことである」


福澤諭吉

 「西郷は天下の人物なり。日本狭しといえども、国情厳なりと言えども、あに一人を容れるに余地なからんや」


勝海舟

「その胆量の大きいことは、いわゆる天空活濶で見識ぶるなどということは、もとより少しもなかった。知識の点においては、外国の事情などは、かえっておれが話して聞かせたぐらいだが、その気胆の大きいことは、このとおり実に絶倫で、議論もなにもあったものではなかったよ。」


このように彼が頭脳明晰だと言われる評価は全くない。

全ての評価が、彼の内面、いわば人間性になっているのがとても興味深い。

そして人間性のなかでも、突出していわれているのが、「豪胆さ」だ。

勝海舟は、上記の評価以外にも以下のような評価をしている。


「天下の識見、議論では西郷に負けぬが、天下の大事を決する人物は彼西郷である」


「その度胸の大きさには俺もほとほと感心したよ。あんな人物に出会うと、たいていな者が知らず知らずその人に使われてしまうものだ」


おそらく数多い明治維新の英傑のなかでも彼の決断力は突出していたのだろう。

寡黙であり、肥満であった彼が一度決断すると、山をも動かす迫力があったに違いない。

豪胆というのは、鈍感ではなく、先に述べた決断する力である。

決断をし続けることは、とても難しく大きなストレスがかかる。

しかし彼は、その天性の力で常に大きな決断をしてきた。

それが時代を動かし、歴史を動かしたのだろう。


そう考えると、彼が新政府成立後に、西南戦争に向かってしまったことも頷ける。治世の

時代には、乱世の英雄は時代には合わない。


現代の我々でもビジネススキルのなかで、決断力は重要なスキルだ。決める腹づもりをする。いろいろな知識を身につけるのもとても大切なことだが、まずは、胆力を身につけることが、大事ではなかろうか。