【今日の暦】二十四節気 夏至
二十四節気:夏至(2023/06/21〜2023/07/06頃)
1年のうちで最も日照時間が長い夏至。世界各地で夏至祭が行われ、太陽の盛りと恵みを祝います。
現代ではキリスト教の祭事ですが、クリスマスやハロウィン同様、もとはヨーロッパの各地でそれぞれ信じられていた自然信仰が起源だといわれています。自然の中に神々を見いだしていた当時の人たちは、植物のひとつひとつにも神や妖精の力が宿ると考えていました。自然を愛する彼らにとって、夏至は"太陽が闇に勝利した"ことを意味する大切な日。この頃に摘んだハーブは"ミッドサマーハーブ"と呼ばれ、とりわけ強い効果を持つと信じられました。
また、夏至は恋愛とも深いつながりを持ちます。
シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』では、夏至の夜に人と妖精が恋の騒動を起こしますが、スウェーデンでは、夏至の夜に7種類の草花を枕の下に置いて眠ると将来の結婚相手を見るという言い伝えがあるのだとか。
6月はローマの女神ユノが守護するジューンブライドの季節。形は異なれど、幸せな愛を願う人びとの思いはどんな時代、どの国においても変わらないのかもしれません。
七十二候
⚪︎乃東枯(06/21-06/26)
……“なつかれくさかるる”。夏枯れ草はその名の通り、夏に枯れる植物。冬に芽を出し、この頃枯れた花穂は漢方薬として使われます。
⚪︎菖蒲華(06/27-07/01)
……"あやめさく"。アヤメの旬は5月。この頃咲くのは同じアヤメ科である花菖蒲です。
⚪︎半夏生(07/02-07/06)
......"はんげしょうず"。葉の半分が白に染まる植物を半夏と呼びます。別名カラスビシャク。漢方薬としても知られ、これが生える頃は大雨が降る、とも。
祭事:山開き(7月1日)
7月1日は霊峰富士山の山開き。この日、各登山口に白装束と金剛杖を持った山伏が集まり、「六根清浄」と唱えながら山登りを始めます。
古来日本において、山とは神の領域である神聖な場所。富士山をはじめ、奈良の三輪山、和歌山の熊野三山など、霊峰に立ち入ることが許されたのは修行者など限られた人たちだけでした。
その禁則を解いて、夏の一定期間だけ一般の人びとにも入山を許可するようになったのが山開きです。
登山手段が豊富になった現代、より身近な存在になった富士山ですが、それでもなかなかハードルが高いもの。
そんなときはお近くの浅間神社に参拝し、境内に設置された富士塚に登ってみてください。富士山に登るのと同じご利益をいただけるといわれていますよ。
参考文献
◇ 『絵でつづるやさしい暮らし歳時記』新谷尚紀
◇『七十二候の食薬レシピ』大友育美
◇ 『魔女の12ヶ月』飯島都陽子