まちなみ
昨日の夜、僕は眠れなかった。
それは一か月ぶりにお酒を飲んだからというわけでは多分なく、
コーヒーを大量に飲んだからというわけでも恐らくない。
(ちなみに僕はお酒を飲むと眠りが浅くなるタイプで、カフェインの影響を受けやすい)
とにかく、雨が降ってひんやりとした睡眠に適した室内で、僕は眠れずにいた。
起きたら、15時だった。
結果としてよく寝た僕が、まどろみながら考えていたのは、地方とは何だろうということだった。
こう考えるきっかけになったのは村岡浩司著『九州バカ』という本を読んだことだ。
この本は九州でとれた材料だけを使ったパンケーキミックス「九州パンケーキ」を展開する筆者が、どのような経緯でその発想に行きつき、実行に移したのかという内容になっている。
その中で僕が面白いと思ったのは筆者の住む宮崎だけで戦うのではなく、九州島全体を地元としてとらえて世界と戦おうとする点だ。
僕はずっと大分のもつ武器でみんなに喜んでもらおうと思っていたけれど、もっと柔軟に発想していいんだなと感じたのだ。
からあげの聖地中津と大分の間には普通列車の往来が少ない。
中津に住む人にとっては福岡の北九州に出るほうが容易だろう。
自然メンタリティーもそちらよりになる。
明治維新以来できたまだ200年も耐えていない県という制度、枠組みにどれくらい意味があるんだろうかと考える。
大分にあるブックカフェ「カモシカ書店」の店長は、「どこかにあるものを持ってきてありがたがるのはやめよう」と言ったらしい。
大分にあるものを、すぐれて大分なものを楽しもうと。
「優れてローカルなものでなければ、真にグローバル足りえない」とは故平松元大分県知事の言葉だ。
優れてローカルなものとは、まちなみのことだと思う。
からあげ専門店があるまちなみ、ゆけむりが上がるまちなみ、フグ料理専門店が立ち並ぶまちなみ。
交換できない人々の生活が、そこに表れていることだと思う。
僕はいろいろなまちなみをこれからも見てみたい。
みんなも大分のまちなみを楽しんでほしい。