Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

『12ヶ月のカイ』公開1ケ月前になりました。

2023.06.22 16:16

皆様お元気でしょうか。

『12ヶ月のカイ』監督の亀山睦木です。


この度、2021年に本作の海外映画祭参加の際に実施していた連日更新ブログ企画を、「成長記録2」として期間限定で再開させてみることにしました。小規模インディペンデント映画ならではの映画宣伝や、劇場公開に無事に辿り着くまでのあれこれを記録していきますので、短い期間ではございますがまたお付き合いくださいますと光栄です!


ということで、今現在の『12ヶ月のカイ』についてを今日は少しおさらいしたいと思います。


本作が完成したのは、コロナ禍真っただ中の2020年。そして、日本をはじめ世界各国の映画祭に参加していた時期は2021年でした。ワールドプレミアとなったアメリカ・アリゾナ州フェニックス市でのフェニックス映画祭・国際ホラー&SF映画祭の参加から早くも2年が経ちます…!本当にあっという間…!

あのころはとにかく作品を一つでも遠く&多くの映画祭に届けるために必死でした。

(この様子は7/1~大阪シアターセブンにて拡大公開となるドキュメンタリー映画『世界で戦うフィルムたち』にも描かれていますので、大阪方面の方はぜひお見逃しなく!

 → 参考:

https://www.theater-seven.com/

 )

慣れない英語で現地のネイティブの方々とQ&Aをしたり、連日あちこちの映画祭から届く英文メールと格闘したり、オンラインディスカッションのえぐい時差に体力的にもやられていたり…。とにかく自動翻訳=AIと、約10年に及ぶ「ダラダラ英語学習」に助けられまくった日々でした。


そんな中、ありがたいことに世界9か国・22か所の映画祭で13もの賞をいただき、日本でもテアトル新宿で開催された「田辺・弁慶映画祭セレクション」の特集上映<亀山監督DAY>にて1日限定という形でジャパンプレミア上映をさせていただきました。その時の日本の皆様からの感想やリアクションも大変印象に残っています。


特に自分として意外だと感じたのは、想像よりも多くのSF映画祭・SFファンからの高い評価をいただけたことでした。

「意外」と書いてしまうのも(なんでだよ…)って気がしますが、本作を撮っている最中、あまり自分としては『12ヶ月のカイ』のことをSF映画だとはっきり感じられていなくて、それが果たして何なのか、その判定を得るために海外の映画祭に応募しまくっていた…というのもリアルな事情としてありました。

果たしてこれは、ヒューマンドラマなのか、恋愛なのか、SFなのか、サスペンスなのか。


結果として、あれだけ多くのSF映画祭に選んでいただけたということは、やはり『12ヶ月のカイ』は「SF映画」なんだろう、というところに今は落とし込んでいます。

が、まあ本国(日本)の皆様にとって本作が何であるかは、必ずしも海の向こうと意見が合致するものだとも考えてはいないので、本格的に本作の劇場公開が始まってから、また、『12ヶ月のカイ』はいったい何者なのか?を考える旅が始まるのだろうともわたくしは勝手に想像しています。


正直なところ、一つの映画に対して感想や印象や解釈は無限に存在しますから、決して何か一つに帰結する必要はないと思っています。これが何であるかは、すべて皆さん次第です。

そして恐ろしいことに、映画は見た人の現在地と作った人間の現在地をも明らかにしてしまう効果があります。それをどう受け止めるかも、皆さん次第、そしてわたくし次第です。


先週、本作のキャスト・スタッフ数名と、「もう一度『12ヶ月のカイ』を見る会」を開きました。その時はっきりと自覚したのですが、本作を撮っていた2019年~2020年の頃の自分の居場所はかなり後ろの方にありました。後ろ、という表現よりは「今とはだいぶ違うところ」といったニュアンスの方がより正確な表現だと思いますが、とにかく脚本やアングルやその他映画の節々から、『12ヶ月のカイ』を撮っていた頃の自分の価値観や社会への視座が今とはずいぶん違っていたらしいことがはっきりと見えてしまったのです。いやはや、恐ろしい。

恐ろしいけれども、社会の変化と連動するように、自分自身も相応に変化していた(できていた)ということには少しばかり安心しました。まあこれは言い訳にほかならないのですが、2、3年も経てば人間はだいぶ変われる。そのことを考えると、話は変わりますが、昨今のAIの進化やら社会情勢の変化やらにも、なんだかんだ言って人類は対応できるような気がしてきて、少し希望も見えたりするのです。


(本当に?)

(なんでそうなっているんだ?)

と、疑問に思うことも日々とても多い時期ですが、この『12ヶ月のカイ』を見たのちに、なにか少しでも現在や未来についての視野を広げていただけたら幸いです。


あるいは、まったく想定外のフィールドに、あなたの脳みそも旅をしてしまうかも…?


さておき、いよいよ7月22日(土)から公開となる本作、ゴールテープを切るまでぜひ今後も見守っていただけますよう!



亀山睦木