たより13 陰陽
食養生をするにあたって欠かせない考え方として「陰陽論」というものがあります。
「陰」と「陽」、なんとなく聞いたことがあるという方もいるかと思いますが、宇宙に存在するすべてのものは陰と陽に分けられるという古代中国思想であり、自然現象を観察することで生まれ、伏羲(ふっき)という人物によって考え出されたと言われています。
陰には、拡散、遠心力というエネルギーがあり、陽には凝縮、求心力というエネルギーがあります。
地球は自転していて赤道に近いところは最も遠心性が強く植物は大きく成長します。(陰)
反対に、南極や北極は遠心性が弱く、植物は大きく成長しません。(陽)
陰陽のバランスがとれた状態を「中庸」と言います。
陰陽の代表的なものをあげてみます。
陰
地、月、夜、冬、寒い、女、植物、静、柔らかい、大きい、長い、軽い、暗い
陽
天、日、昼、夏、暑い、男、動物、動、固い、小さい、短い、重い、明るい
陰陽の関係について主な特徴をあげてみます。
①表があれば裏がある、始まりがあれば終わりがあるというように、お互いを存在条件としていて単独では存在しません。
②磁石のプラスとマイナスのように陰は陽を引き付け、陽は陰を引き付けます。
男と女が惹かれあうようなものです。
そして、陰と陰は反発し、陽と陽は反発しあいます。
③絶対的な陰や絶対的な陽はなく、相対的なものです。
AとBと比較してAが陰性だとします。しかしAよりも陰性のCと比較するとAはCより陽性ということになります。
④絶えず変化し、動いています。
春からだんだん陽の力が強くなり夏がきて、陽が極まるとその中に陰が入ってきて秋になり、だんだん陰の力が強くなると冬が来ます。陰が極まるとその中に陽が入ってきてまた春が来るというように繰り返します。
朝から昼になり、夜が来てまた朝が来るのも同じです。
陽が強くなれば陰が弱くなり、陰が強くなれば陽が弱くなります。
わかりやすい特徴だけをあげてみましたが、陰陽の考えというのは、すぐに理解するというものではなく、陰陽でものを見始めてから少しずつわかるようになってきます。
人も陰陽のバランスを取りながら存在しており、そのバランスが崩れた時に、未病、病気になります。
<バランスが崩れる例>
①陰性体質の方が、陰性のものを多く食べたり、陽性体質の方が陽性のものを多く食べるとバランスが崩れます。
②夏には体を冷やすためトマト、きゅうり、茄子などの陰性の強いものが収穫でき、冬には体を温めるため根菜類などの陽性の強いものが収穫できます。
夏に冬野菜を多く食べると体の熱が取れないし、冬に夏野菜を多く食べると冬にクーラーを入れた部屋にいるような状態になってしまいます。
③熱帯地域では、体を冷やすために陰性の強い物が収穫でき、寒帯地域では、体を温めるために陽性の強い物が収穫できます。
現在の日本では世界のいろんな食材、料理が食べられていますが、気候、環境が違う場所で育ったものを食べることでバランスが崩れます。
④一つの食材の中にも陰陽が存在します。
大根を例にすると、土の中の白い根の部分は陽が強く、土の上に出ている葉の部分は上に行くにしたがって陰が強くなります。
たより9で書きましたが、一物全体で摂るということが陰陽のバランスがいいのです。
部分食をしているとバランスを崩しやすくなります。
⑤味付けや調理法にも陰陽があります。
例えば、日本の北の方では、体を温めるため塩分(陽)を効かせた料理が多かったり、南の方では体を冷やすため甘味(陰)を効かせた料理が多かったりします。
さっと茹でたものは陰性よりの調理法で、長く煮込んだものは陽性よりの調理法になります。
生まれ育った土地や、現在住んでる土地の味付けとは違うものを食べ続けたり、自分の体質に合わない調理法をしていると、バランスを崩しやすくなります。
ここまで長々と説明しましたが、どの食材が陰性なのか陽性よりなのかここでは詳しく説明しませんでしたし、慣れるまでは判断が難しいかもしれません。
なので、以下のことを基本にしておくとよいと思います。