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詩人・作家 神泉 薫(Kaoru Shinsen)のブログ ~言の華~

新しい自由をもとめるとき

2018.08.23 03:22


詩人・三好達治。ふいに浮かんでくる達治の詩といえば、「雪」という二行の短い詩が思い出されます。


 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 


太郎や次郎、しんしんとふる雪、永遠の時間が、屹立した行の中に封じ込まれて、

おだやかに、心の奥に染み入ります。日本的な風景を織り込んだ、抒情豊かな詩です。


一方、『砂の砦』(1946年)に出版された詩集に納められた詩「鴎(かもめ)」は、戦争が終わって、新しい自由を感じ始めたときの高揚する時代の気分が現れており、「雪」のゆったりとしたリズムとは異なり、一転して開放感のある作品となっています。


調布FMラジオ「神泉薫のことばの扉」2018.5.19放送分アーカイブにてぜひ、お聴きください!




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