日本語オペラの誕生
日本語オペラの誕生
鷗外・逍遙から浅草オペラまで
森話社 2018年
大西 由紀
はじめに──問題の設定
[第一部 物語る声は誰のものか──東西の戯曲形式の狭間で]
第一章 オペラが目指されなかった時代──演劇改良論から新劇運動まで
第一節 オペラ劇場への憧れと、オペラ待望論の欠如──演劇改良論
第二節 独白表現と「チョボ」の呪縛──『ハムレット』をめぐって
第二章 二つの浦島劇──森鷗外『玉篋両浦嶼』と坪内逍遙『新曲浦島』
第一節 ヴァーグナー・ブームとオペラ待望論
第二節 「白を主とする劇」──『玉篋両浦嶼』
第三節 「振事」を基礎とする「新国劇」──坪内逍遙『新曲浦島』
第三章 オペラと歌舞伎と「叙事唱歌」の距離──北村季晴『露営の夢』
第一節 音楽劇『露営の夢』の成立まで
第二節 歌舞伎座における上演の実態
第三節 歌唱者の振り分け──義太夫節の歌舞伎化との対照において
[第二部 音楽劇は何を物語るべきか、何を物語れるのか]
第四章 日本人による初期の歌劇上演
第一節 東京音楽学校『オルフォイス』
第二節 楽苑会の創作および翻訳歌劇上演
第三節 前期文藝協会の上演した逍遙の音楽劇作品
第四節 山田耕作『誓の星』
第五章 帝国劇場の試行錯誤
第一節 帝国劇場の誕生──新時代の理想と伝統の継承
第二節 女優と歌手、バレエとオペラ──帝国劇場歌劇部の発足と『胡蝶の舞』
第三節 日本的題材の採用の是非──『熊野』
第四節 劇評界の示した二つの方向──『釈迦』
第五節 「常磐津のオペラ」という反動──『江口の君』
第六節 その他の歌劇関連の演目
第六章 帝劇歌劇部の達成したもの
第一節 ローシー指揮下の洋楽音楽劇の展開
第二節 小林愛雄の翻訳喜歌劇台本──『ボッカチオ』を例に
第三節 帝劇洋劇部の解散以降
[第三部 歌とセリフは、それぞれ何を物語るのか]
第七章 実験の場としての「お伽歌劇」
第一節 歌とセリフのすみ分け──北村季晴『ドンブラコ』
第二節 音楽の挿入を目的とする劇──本居長世『うかれ達磨』
第三節 『ドンブラコ』『うかれ達磨』から見えてくるもの
第八章 レコードになったお伽歌劇
第一節 佐々紅華の仕事
第二節 語り物の系譜に連なる音楽劇──『ウントコ爺さん』
第三節 日本的な節回しの呪縛──『ウサヽヽ兎』
第四節 浅草での仕事ぶりを予感させる作品──『目なし達磨』
第五節 口語散文の自在な歌唱──『茶目子の一日』
第六節 「文句集」における歌とセリフの位置付け──「むすびに」に代えて
第九章 浅草オペラ──観客の支持した新しい音楽劇
第一節 浅草オペラとはどのようなものであったか──先行研究をもとに
第二節 帝劇時代の翻訳台本からの逸脱──再び『ボッカチオ』を例に
第三節 替え歌オペラ──伊庭孝『女軍出征』、佐々紅華『カフェーの夜』
第四節 「本格」オペラ上演への憧れ──小松耕輔訳『ファウスト』『椿姫』
むすびに
参考文献一覧
略年譜
あとがき
主要外国作品原題・邦題対照表
主要索引