「<Das Leben ein Traum>Ernst Kreidolf 1863-1956」
本日はエルンスト・クライドルフの絵本を多数更新しております。
中でも珍しいのがこちらの「<Das Leben ein Traum>Ernst Kreidolf 1863-1956」という、1996年にスイス/ベルン美術館にて開催されたクライドルフの展覧会の図録(作品集)です。
クライドルフの絵本作品の原画から、人物画のデッサン、油彩画、水彩の風景画、そして植物画など、この作家の様々な作品を見ることが出来る、充実の作品集です。
この作品集のタイトルにもなっている「Das Leben ein Traum(人生は夢)」、これは中に掲載されている作品の題なのですが、その絵はクライドルフの絵本の作品にも通じる、不思議な魅力を持った絵ですね。
薄暗い森の中で、大勢の人が集まって何やら楽しそうにしています…。それはまるで、北欧の夏至のお祭りのようです。
その森の木々の上には伝説上の生き物たちも描かれていますが、絵の奥の方には墓地も遠く見えるのが、何処と無く不気味な感じも与えます。
(よく見ると、人々の中には嘆き悲しんでいるように見える人も数人います)
夢を主題に取った作品と思われますが、皆さんもよく知っているクライドルフの絵本作品ともやはり何処か通じている部分が多くあるように感じられます。
幻想的な雰囲気、前面に出ているのは穏やかな喜びでありながら、画面の其処此処に深く染み込んでいる哀しみ。
クライドルフはスイスの画家/絵本作家ですけれど、幾つかの絵では、ムンクなどの北欧の画家たちと似ている部分も感じられます。これは絵本作品だけを見ていては気付かなかったことかもしれません。
様々な作品の中でも、クライドルフファンを一番喜ばせてくれるのは、植物画、とてもとても繊細に描かれた花のデッサンかもしれません。その中の幾つかは、美しく彩色され仕上げられているものもあります。
これらの絵から、あの絵本作品の中の擬人化された花の妖精の姿を思い浮かべ、繋ぎ合わせてみるのも、楽しく興味深いことだと思います。
ドイツ語なので全く読めないのが残念なのですが、テキストも充実しており、200ページを超えるボリュームの、クライドルフが好きな方にはたまらない一冊です。
当店のクライドルフの本はこちらです。