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古志YouTube句会(6月)を終えて

2023.06.25 21:00

土曜日は定例の古志YouTube句会でした。


コロナ禍をうけて始まったオンライン句会ですが、


今回で第40回となりました。

この間、惜しまれながらご逝去された方々もあり、


その一方であたらしく連衆となられた方々もあり、


さまざまな縁が交差する場として回を重ねてきました。


それぞれの立場から、それぞれの今を、


そしてそれぞれの思いを句にして寄せてくださっています。


こうした積み重ねによって句会という一つの器が育っていくのだと、


あらためて実感しています。


皆様への感謝の思いとともに、


これからも一回一回の句会をより大切に、


悔いのないものにしていきたいと思う次第です。


特選句から。


浅草や母と分け合ふどぜう鍋    木下洋子


作者によれば、御母堂との最後の旅行だっとのこと。


そうした背景は選句中には知ることはできないのですが、


一句のたしかな土台になっており、句中でわざわざ言わずとも言外に伝わってきます。

泥鰌鍋。写真はwikipediaより)


なお、歴史的仮名遣いでは「どぢやう」ですが、


江戸時代から一般に使われている「どぜう」も誤りとはいえません。


生きたことばを大事にするという意味では、


国が決めた歴史的仮名遣い(契沖仮名遣い)よりも、


一般に使われている「どぜう」を使うほうが、


句に適っているようにも思えます。


蜥蜴の子地球の色をしてゐたり    田村文生


子どもにして、すでにこの地球の色を帯びているのです。


蜥蜴の子は小さな存在ですが、


この句においては、


じつに巨大な存在感をもって迫ってきます。


ちなみに体は大地の色、尻尾は空の色だったとのこと。


悔しさがのたうち回る蜥蜴の尾    稲垣雄二


こちらは切られた尻尾。


尻尾自身が感情をもっているかのように詠まれています。


諧謔のなかにも深いあわれが滲んでいます。


続きはまた明日。