サウジアラビア公演
エジプト出身の大人気歌手Mohamed Mounirさんのサウジアラビア公演にゲスト出演してまいりました。
俳優さんでもあり、彼の歌はエジプトだけではなく有名で皆で大合唱になる公演でした。
なぜこうなったのかと言いますと。
2005年頃、ギリシャ出身アメリカで活躍するYanniというキーボード奏者の世界ツアーに参加しておりました。日本以外では結構有名な方で、元々ロックな感じの方でしたがワールドミュージックの美味しいところをアレンジしてピラミッドの前で演奏したり、割合と美しくてロマンチックなメロディーを大事にするところが人気の一つではないかと思います。
クラシックと即興がいけるヴァイオリニストを世界中探していたそうで、なんと私に白羽の矢が!その当時キューバに滞在していましたが、日本で知り合ったドラムのJoel Taylorさんから「さやか、マイアミにオーディション受けに行ってくれ」と連絡がありそのままWest Palm Beachに。元マイケルジャクソンさんのお家の何軒か先のお家で、それはそれはものすごい豪邸!Yanni様と一緒にセッション後お寿司をご馳走になり帰国しました。
まあそんなことでYanniツアーに参加しました。私の前に演奏していたヴァイオリニストKaren Briggsさんが偉大だったため皆様不安もあったと思いますが何とか勤め上げました。
このYanniツアーでの出来事は面白すぎて、バンドが総勢20名以上、ミュージシャンだけで3台のベッド付きのバスで移動していました。新参者の私はパソコンに強い人が乗ってるコンピューターバスに乗車を希望しましたが、いざ初日を終えてバスへ向かうと「SAYAKA, Sorry、空きがなくて君はCrazy Busだ」と言われました。
そこにはロシア、アルメニア、パラグアイ、アメリカ出身の、バンド内で最も濃い人たちが乗っていて、夜な夜なウォッカを飲んでは窓から発狂する人がいました。そこにポツーンと入ってしまいましたが、旅の最後の方では、私が共有スペースで狂ったようにサルサを流し続けるのでみんな大人しく寝たり引き下がっていたような記憶。。。
今回そのバス仲間のハープ奏者Victorから連絡があり来てくれないかと。当時のヴァイオリンの相棒Samvelもいるよと。
「え?10日後?何を弾くの?誰と?」と質問だらけだけどVictorもわかっていなかった為、とりあえず家族と相談し旅の準備だけ整えて。パスポート更新もビザもギリギリで、結局確実に行けることがわかったのが出発の前日。
サウジ、ええと宗教観、食事、ネット環境などなど急いで最低限調べて準備したけど子供のことも気になるし島根公演の直後で疲れていたのもあってか忘れ物だらけ!
冷静な旦那のお陰で何とか空港に辿り着き、現地は巡礼の時期なのでどうのこうの、と航空会社スタッフから説明があったりして更に混乱のまま出発。今後もお世話になる予定の事務所の方に「政府ビザだし大丈夫、ところで空港に着いたらカメラが入るからね」と言われてびっくり。
中東界隈でもYanniは人気で私が弾いているDVDはみんな持っている、という話を聞いたことはあったけど、今でもそれが残っているとは。。
実際空港に着くと、ネームカードを持った方に誘導されてVIP用の入国審査室へ、その後サロンで待機。疲れでひきつりながらもカメラに笑ってホテルで旧友と感動の再会!
そこからは睡眠もそこそこにリハーサル、インタビューなど長時間。待ち時間も長くてCrazy Bus仲間とあれこれ思い出話。みんな何にも変わってない!あの国境越えた時の酷かったの覚えてる?とか呑みすぎてはダメだと言われただの何だの。私は空き日には地元のサルサクラブに女子を誘って行ったりしてたなあと思い出したり。
コンサート前日夜にやっと何を弾くのかが見えてきて、メインの歌手様ともお会いできて(柔らかいオーラのとても素敵な方だった!)楽曲も素敵でやっと安心。共演のオーケストラはサウジ以外の国の人が殆どで、スペインやウクライナからも。弦楽器奏者を中心にみんな写真を撮りにきてくれて、何だか改めてYanni様に感謝の気持ちが溢れました。
睡眠は全くダメだったけど美味しいご飯とフカフカのベッドで何とか体調もキープ。野菜の調理方法が豊かで味付けも優しくてたまらなかった!
そしていざ本番!
私がステージに出て行った時もそうだったけど、本番前のコンサート紹介ビデオでのインタビュー動画が流れたら「ワーッ」と歓声が。何年も見てなかったSAYAKAが出てきた!みたいな感じでした。ありがたや、ほんとに。
緊張しないタイプなので楽しみましたが全てが急だったこともあり楽曲の把握度が低くて、もっとメロディーとかも一緒に弾きたかったなあと。
音楽的にはあらゆるものが混ざっていたので逆に対応できましたが、アラブ音楽は本当に本当に奥が深くて、日本人の想像を遥かに超える複雑かつ魅力的なもの。私は色々ほんとに無知ですが、知らないって時々恐ろしいなって思います。
サウジアラビアは、日本人的には恐らく限られた一部分しかイメージできないと思いますが、実際に行ってみて短い時間だけど人に触れてみると、宗教観も大きく影響していると思いますが人へのリスペクトが会話や人から滲み出ていて「恐れ入ります」っていう言葉が心の中でずっとループしている感じでした。
街も綺麗でご飯が美味しくて。時間があまりに限られていて個人的に大好きなローカルの世界をあまり覗けなかったのが残念ですがとても心地よい時間を過ごしました。
もっとビックリするような出来事もありますが文章に残しにくい内容なのでライブでも少し紹介できたらなと思っています。
日本ではワールドミュージックってちょっと言い過ぎると軽視されがち?な感じが若干。一番人気はやっぱりポップス?ロック?クラシックも聞く人は減ってるかもだけどちょっと偉そうだし(私は大好きだよ)、ジャズもなんかもほんの若干に偉そう(私は尊敬してるよ)。ワールドミュージックの良いところは自分の素晴らしさよりどちらかというと共有や受け入れが強いようなイメージがあります。メソードにハマって人の音を聞かなくなりやすい傾向もあるかもしれないけど。
また旅に出る可能性もありそうという事で、今の私には時間が限られているし大したことは出来ませんが、ワールドミュージック万歳!で引き続き笑顔になっちゃうサウンドを楽しい仲間と共にキープできたらと思っています。