B.スメタナ 弦楽四重奏曲第1番ホ短調 「我が生涯より」
2018.05.28 15:00
かの名作「モルダウ」の作曲者です。
19世紀のチェコを代表する作曲家としてドヴォルジャークと双璧を成しました。
ともにチェコ西部のボヘミア地方の出身で、当地の民俗音楽を創作に取り入れつつ、西欧音楽の影響を強く受けました。
それゆえに作風は洗練され、チェコ東部出身のヤナ―チャクとは大きく異なります。
スメタナはピアニスト、指揮者としても名を成しました。
しかし50歳の時に感染症に冒され次第に失聴となり、全ての地位から退いて隠居し、残された人生を作曲活動に励んだのです。
失意の中で生まれたのは先の「モルダウ」を含む
連作交響詩「我が祖国」
や今宵の
弦楽四重奏曲第1番「我が生涯より」
などの傑作です。
これらによってチェコの音楽発展に貢献し、スメタナの名声はますます高くなりましたが、その一方で精神を病み、精神病院で生涯を終えることになったのです。
「我が生涯より」はタイトル通りスメタナの音楽自叙伝です。
友人に宛てた手紙に「私の人生の思い出と、完全な失聴という悲劇的な結末を書いた」と語ったのです。
京冒頭より悲劇の始まりをヴィオラが慟哭の様に奏でた後、これまでの人生=音楽家として歩み始めた時の情熱、楽しかった青春時代、亡き先妻との優しい時間を回想します。
終盤では作曲家として軌道に乗り、人生の絶頂を謳歌するのですが、その矢先に失聴に冒され、失意が虚しく響き幕を閉じるのです。
それでは、この曲の動画をどうぞ!
第2楽章 8′02”~ 第3楽章 13′45”~ 第4楽章 22′10”~