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KAWASAKI GPX750R/GPZ600R 1986

2018.07.11 09:38

KAWASAKI GPX750R1986

 カワサキとしては初の750 専用設計のモデルとなる。Z1 →Z2 、GPZ900 R→750Rとスケールダウンであったり、Z650 →Z750 FX−III のスケールアップなりと、カワサキ・ナナハンには印象を高める上での狙いもあった。しかし、実際のところ、国内市場には750cc が安定したビッグマーケットとなる要素は少なく、敢えてコスト面での冒険は出来なかったのだろう。カワサキが、こうした背景をわきまえながらもGPXに専用設計を図ってきたのは、TT−F1 に強力なバックアップを望む声に同調させたものとも思われる。

 1983年を最期に世界選手権から撤退。グリーンモンスターの雄姿を懐かしむ声は日増しに高まっていた。1984年のGPZ750 Rの発売を期に、750cc を上限とする新レギュレーションに適合させたマシン造りも行っている。が、その雄姿は遂に見ることが出来ずにいた。そして撤退から 4年振りの1987年、遂にカワサキの復活を果たしたのはGPX750 RをベースにしたワークスチューンのZXR−7 だった。GPX750 Rは、その専用設計の優位さを突き詰める上で、徹底した改良が図られていた。パワーユニットに関しては、軽量・コンパクトを前提に行われ、GPZに対し〔クランク部外寸全幅:451 →420mm 、ピストン全高:61.7→50.0mm、ピストンプン:φ18×_ニ57.2・60g →φ17×_ニ53.0・53g 、コンロッド軸間距離:114.2 →107.0mm 、バルブ傘径:IN.φ28→φ26.5・EX.φ23→φ22.5、バルブステム径:φ5.5 →φ5 、カム軸距離:142 →93mm、ピストン重量:195 →165g〕大々的な改良となった。優に14,500rpm を正確に動作する動弁機構は、オーバーレブリミットの設定を12,200rpm とし、レッドゾーン開始の11,000rpm に対しても十分な余裕を持たせている。とにかくパワーユニットに関しては、レース対応を踏まえた上での改良と伺えるポイントが見受けられる。だが、ことフレームとなるとまるで方向性が異なる。TT−F1 では、パワーユニット以外の部分での改造は大幅に認められており、量産モデルにはスチール製で十分と判断された。技術研究所で開発されたフレーム強度・剛性解析システム(CAET)を駆使し、理想的といえる卵型形状に近いパイプワークで仕上げている。パワーユニットや車体の軽量化は、実にGPZ−Rに較べ30kg以上と言う驚異的なレベルだ。レーサーレプリカにはない、フレキシブルな走行性能を持ったモデル。今一度実感すると、新たな感動をもたらしてくれるはずだ。


KAWASAKI GPZ600R1986

 GPZ900 R/750 R/400 Rに続きデビュー。シリーズ中にあって最適なバランスのとれたモデルと絶賛された。最初に国内発売されたのは1985年、輸出向けのモデルを限定で1000台。1986年になりようやく正式に国内販売が開始された。しかし、国内販売も翌1987年を最期に、輸出車のみ継続。1988年のGPX600 にバトンタッチして生産を停止した。当初は、スチール製のダブルクレードルで生産を開始した600 R、国内販売はそのままで終了している。が、継続された輸出モデル(ZX600 B1 )にあっては、1987年以降GPZ400 R同様AL−Xが与えられている。国内販売を開始された600 Rにあったダミーのサイドパイプは、強度を兼ね備えたものではなく、飽くまでもデザインの共通性を狙ったもの。フレームそのものは、FX400 R(1985y) に採用されているスチール製のダブルクレードルが与えられている。パワーユニットは 900Rに採用されている先進の技術を投入。但し、センターカム方式の採用やバランサ−機構の排除等、 600Rの最適さを追求する上での相違点も生まれている。また、 6速ミッションのギア比は 400Rと共通。減速比のみ変更(400 R/600 R:一次3.277 →2.641 、二次2.600 →2.533 )が与えられた。装備されるシステムは、フロント・サスペンションに与えられたオイル流量をコントロールして最適なダンピングフォースを得るAVDS(オートマチック・バリアブル・ダンピング・システム)。更に、ブレーキ連動型のアンチダイブ機構(ADS)と 400Rと共通。但し、ブレーキのディスク径に変更(400/600:フロント有効径242 →236mm )があり、リアのみ共通(216mm) で対応している。マキシム220km/h を可能とする動力性能を持つ「600 ニンジャ」。「ザッパー(Z650/1976y)」の再来を予感されるに十分なインパクトを持っていた。