パリの誇り セーヌ川と橋 (1991年 世界遺産登録)
<「美の巨人たち」テレビ東京放映番組(2016.9.10)より、主なコメントを引用>
パリの真ん中を流れるセーヌ川の左岸と右岸、中州の島を結ぶのは、大小あわせて37の橋である。世界遺産に登録されているのは、シュリー橋からイエナ橋までの約8キロメートル。
番組で取り上げられた、代表的な橋をいくつか紹介。
⭐️「PONT NEUF ポンヌフ橋」
パリを象徴する橋のひとつ。1578年工事着工 1606年完成というから、400年も変わっていない。「NEUF=新しい PONT=橋」という名の通り、川の流れを眺めることのできる、家のない石の橋だった。映画「ポンヌフの恋人」で有名な橋。風景を楽しむために、最初に生まれたのが、この「ポンヌフ橋」といっていい。
⭐️「PONT ALEXANDRE III アレクサンドル3世橋」
1896年完成のパリ一番の美しさを誇る橋といわれる。
アンヴァリッドからシャンゼリゼ大通りへ抜ける橋の計画は、すでに19世紀初頭から持ち上がっていたが、完成は1900年のパリ万博に合わせて。世界でも有数の「プレハブづくり」の橋だった。
黄金に輝く彫刻、街灯がともった1840年当時をしのばせるブロンズの大燭台が、橋を華麗に飾る。アール・ヌーヴォーの装飾が素晴らしい。橋中央、上流側の彫刻は「パリに武器をもたらしたセーヌ川のニンフ(女神)」、下流側は「ロシアに武器をもたらしたネヴァ川のニンフ(女神)」と、友好関係を結んだ仏露の偉大なる川を称えている。
⭐️「レオポール・セダール・サンゴール橋」
1999年完成した、比較的新しい橋。セーヌ川の岸辺から、直接橋の中央上部にまで、歩いて登っていくことができる橋。
<番組を鑑賞しての私の感想綴り>
まだ行ったことのないパリではあるが、セーヌ川と橋の存在は、パリに住む人々にとってなくてはならない、毎日橋の袂に立ち美しい景観を眺められる、宝の存在なのであろうとつくづくと感じた。
そして、やはりパリで一番の美しさを誇る橋「アレクサンドル3世橋」からの眺めは必見の価値ありのようである。
ルーブル美術館、アンヴァリッド ナポレオンが眠る軍事博物館(旧軍病院)方面、エッフェル搭方面などが、眺められる橋。橋そのものと、そこから眺める昼と夜のそれぞれの表情を醸し出す、景観の美しさが特に印象に残った。
以前の放映(2013/8/24)で、熊本県にある農民の願いをかなえ、造形美を体現した橋「通潤橋<つうじゅんきょう>」(布田保之助)を思い出した。
そして、この橋を完成させた石工の一人で、のちに「橋下勘五郎」として江戸に登り、今の都内に現存する「浅草橋」「万平橋」などを手がけた人物のことである。
「水」そのものは、時には大津波やゲリラ豪雨といった水災害をもたらす「災の水」として恐れられる存在である。
一方、「人の暮らしそのものを豊かに潤していく水」「日々生きていくための水」として、天からの「恵みの水」ともなることを学んだ。
「東京の都市を象徴する橋」に、どこの橋があげられるのだろうか。お江戸「日本橋」といわれても、現在の景観では厳しいものかと。
2020年に向けて、いや、その後のレガシー(遺産)としても、世界に「TOKYO・東京」を発信できる橋が待望されてもいいのでは? 、などという私の妄想がひろがった。
写真: 上 「PONT NEUF ポンヌフ橋
中 「PONT ALEXANDRE III アレクサンドル3世橋」
下 「レオポール・セダール・サンゴール橋」