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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近代と信仰20-小さき花のテレーズの道

2023.06.28 11:21

ところでここは天界。「マリアお母様お呼びでしょうか?」「おおジャンヌ・ダルクちゃんちょっと女の子をお願いしたいの」「いよいよ戦争するんですか?」「物騒なこといわないでよ聖女候補よ」「たくましい子ですか?」「いや病弱な子なの」「えー」「あなたのファンなんだけどなー」「ファンのためなら」

1883年マリー・フランソワ・テレーズ・マルタンは、病気になり聖母に祈っていたところ、聖母像の顔がほほ笑むのを見て病気から回復した。彼女は14歳から修道女になりたいと熱心に願い、89年念願がかない「幼きイエスのテレーズ」という修道名を受けた。

その頃はジャンヌ・ダルクのリバイバルで、その伝記を読んだテレーズは自分もそれに倣いたいと思い、コスプレもした。しかしテレーズの使命は人目につくことではない、と教えてくれた。テレーズは修道院の中で、本当に目立たず1897年、24歳で帰天した、その前に「私は天からバラの雨を降らせます」と言った。

テレーズを有名にしたのは死後に出版された自伝である。彼女は人間を花に例え、大きなバラだけでなく小さなスミレもまた必要だと述べた。日常的な小さな善行や愛が聖なる道だと言ったのである。この新しい聖性に彼女は教会博士の称号を得た。そして数々の奇跡が起こったそうだ。中でも有名はのはエディット・ピアフの目を治したことだろう。