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MARIKO IKEDA

モキール環礁でのタコノキ採取

2017.06.22 08:48

2017年、モキール環礁で植物採取をしてきました。ミクロネシア連邦のポンペイ島から150km、小型飛行機で約1時間の距離にある環礁です。



100人ほどの住民が電話やインターネットのない環境で過ごしており、外部との連絡は主にラジオ波で行われます。

タコノキは環礁での貴重なビタミン源になるだけでなく、葉は屋根や敷物としても利用されます。枯れた実は燃料としても重宝し、新鮮なトビウオ料理やパンノキのココナッツミルク煮など、たくさんの美味しい料理をふるまっていただきました。限りある動植物を工夫して利用し、伝統的な生活を保っている様子は、現代化された生活に慣れてしまった私にはとても尊く見えました。

他の研究によると、この環礁にはパンダヌステクトリウスの栽培品種が17品種もあるとのこと。私が一見しただけではどれも同じように見えるのですが、それぞれに栽培品種の名前がつけられていて、現地の方々は明確に区別しています。シャクシャクしているとか、ジューシーだとか、味にもはっきりと差があるというのですが、私にはどうもよくわかりませんでした。

環礁最大の果実は、縦45cm、17kgという信じがたいスケールでした。住民の名前がついており、この環礁で独自に品種改良されたそうです。

近年、ミクロネシア連邦のNGO団体、アイランドフードコミュニティーによって、モキール環礁の海岸線に沿って3000本もの挿し木が行われました。本来は環礁の土壌流出を防ぐために住民によって行われてきたそうですが、人口の減少によりこのような伝統文化の喪失が懸念されています。 同じく、ジャングルの奥地では、すでに自然淘汰されてしまいそうなパンダヌステクトリウスの栽培品種を見かけました。


環礁の人口減少と生活の近代化がもたらすタコノキへの影響を目の当たりにし、ボタニカルアーティストとして貢献できることは何かと考えさせられました。