テリー=アン・カーターさん
https://www.ca.emb-japan.go.jp/JapaneseSite/Kohobunka/2014events/haiku_lecture.html 【俳句講演会の開催】より
5月21日、当館講堂において、テリー=アン・カーター俳句カナダ会長による英語俳句講演会「Understanding Kigo and Kireji in English Language Haiku」が開催されました。
冒頭挨拶において、金子万里子参事官は、俳句は簡素な形式をとりつつも文化を超えて風景や感覚を伝えることができるものであり、今回の講演会を通して参加者が俳句への関心を深め、得た知識を自らの俳句作りに生かすことを期待すると述べました。
カーター会長は講演の中で、英語で俳句を作る際に日本の俳句で使われる季語と切れ字をどのように理解し取り入れるか、代表的な英語俳句を例に挙げつつ説明しました。講演に続くワークショップで参加者は、俳句を書き留めるためのノート作りを体験しました。様々なノートが出来上がり、参加者の創作意欲の旺盛さを感じさせる会となりました。
http://www.mira-morioka.com/2019/08/13/haikuworkshop/ 【▶【Event Report for Haiku Workshop】「テリーさんと作る!かんたん英語俳句&ステキな俳句帳」が開催されました。】より
令和元年8月4日(日),アイーナ8階にて英語俳句をテーマにしたワークショップが開催されました。講師を務めるのは,俳句カナダの前会長でもあり,同日開催された第一回盛岡国際俳句大会の審査員の1人,テリー・アン・カーターさんです。
俳句といえば日本のものという印象が強いですが,今やアジア諸国のみならず,カナダやアメリカ,オーストラリアでも親しまれているそうです。今回はそんな,海外で独自の発展を遂げた英語俳句を学び,そして簡単な英語で実際に俳句を詠んでみました。更に,テリーさんはペーパーアーティストとしても活躍されている方で,ワークショップの最後にはテリーさん直伝の,俳句を一作品書き込むのにぴったりな俳句帳作りも楽しみました。
まず最初に,英語俳句のルールは日本のものとはだいぶ異なっていることを学びました。例えば日本俳句は一行で書きますが,英語俳句では三行で、また「5・7・5」では無く,「5以下の音節・7以下の音節・5以下の音節」で詠むそうです。早速「Summer Morning (夏の朝)」から始まる俳句をテーマに詠んでみましょうとテリーさん。日本俳句の形態に慣れた参加者の中には,「難しい・・・」と頭を抱える方も居ましたが,テリーさんの助言もありつつ,みんななんかとか最初の句を完成させることができました。家の中から見える庭の風景や,暑さや太陽と言った夏を思わせる単語を含んだ,夏の朝の情景が浮かぶような俳句がたくさんできあがりました。次のお題「小さな生き物をテーマにした,ユーモアを含んだ俳句」では,参加者の皆さんの圧倒的な成長にテリーさんもびっくり!最初はなかなか筆が進まなかった参加者も,最後には楽しそうに,テリーさんの自分の俳句に対する批評やアドバイスに聞き入っていました。
最後に,テリーさんから一枚の紙でできる俳句帳の作り方を教わりました。「小さな手のひらサイズの俳句帳は贈り物にもぴったりで,自分のお気に入りの句を書き込むのも良いですよ」と,更にステキな俳句帳にグレードアップするためのデコレーションアイディアもたくさん教えてくれました。
今回のワークショップでは英語で何かを学び実際に挑戦してみるという一段階上の内容でしたが,参加者のみなさんが生き生きとものづくりに取り組んでいた姿がとても印象的でした。テリーさんからも「新しい視点の俳句に出会えたこと,参加者の皆さんが英語俳句にチャレンジしてくれたことが嬉しいです。」とのお言葉をいただきました。参加してくれた皆さん,テリーさん,そして国籍関係無く人々を繋いでくれた俳句に,感謝いたします!
https://www.haiku-hia.com/overseas/primer/english/archives/17.html 【俳句紀行 - 第17回】より
秋風が吹いて、台風の襲来も。福島から届いた梨の箱に一枚の紙、放射能セシウム検査結果の「検出せず」とありました。暑かった夏のお陰で本当に甘くて美味しい!もうすっかり涼しくなり虫の音が嬉しいですね。今回は、2011年8月にシアトルで開催されましたHaiku North America 2011の参加レポートと国際交流基金の助成を受けて「山頭火の作品と生涯」を紹介に行って参りました同じく9月にカリフォルニアで開催のYuki Teikei Haiku SocietyのAsilomar Retreat(アシロマー研修会)の様子をご報告申し上げます。
★猛暑の東京を離れ避暑に来たような気分となった爽やかなシアトルで、平成23年8月3日‐8日、丁度50年を迎えたスペースニードルのあるシアトルセンターを会場に「Fifty Years of Haiku」というテーマで、今年20周年を迎える第11回HNAのシアトル大会が開かれました。39人の発表者によるアメリカの俳句の歴史、カナダ俳句がカナダ俳句である所以の考察、俳文、俳画、『がっこうのうた』(日航財団編地球歳時記Vol.11, ブロンズ社、2011年)からの世界の子供たちの俳句の朗読、またパネルディスカッションでは「ブログ俳句」や「新しくハイクグループを立ち上げるには」等、「映像による連句」等のワークショップ、第一回ヒギンソン記念賞を受賞した熊本大学のRichard Gilbert先生の講演、「Social Consciousness and the Poet’s Stance in 21st Century Haiku: From Kaneko Tohta to the Present」と、朝8時の太極拳のクラスから始まって、夜は10時半までプログラムがびっしり詰まっていました。大会記念の合同句集『Standing Still』からタイトル句となりました一句です:
city passerby
stare at haiku poets
standing still Marilyn Hazelton
街角の通行人が じっと佇む俳人たちを じろりと見る マリリン・ヘーゼルトン
★日本からは他にも松山市の乃万美奈子さんが「Shiki’s Haiku Revolution 子規の俳句革命」、同じく愛媛大学の中西淳先生が「Fight for Haiku! The Annual Haiku Tournaments Fought by Nationwide High Schools in Matsuyama, Japan 俳句甲子園」という発表をなさいました。堂々と商店街アーケードに設けられた競技場で戦っている高校生チームの試合のスライドに聴衆からは「あの垂れ幕は俳句ですか?」、「誰がどういう風に判定を下すのですか?判断の基準は何ですか?」等、質問が沢山出ていました。サッカーのワールドカップのように世界規模の学生俳句大会が開かれる日が来るかもしれません!
★英語圏でも俳人の高齢化は問題になっていまして、新しい息吹を俳句界へ呼び込むべく様々な試みがされています。若者が俳句と出会い、そして俳句と一生付き合って行こうと思う様になる為には適切な俳句教育が肝心です。出版されたばかりのカナダの俳人Terry Ann Carter編の『Lighting the Global Lantern: A Teacher’s Guide to Writing Haiku and Related Literary Forms』(Wintergreen Studios Press, Canada, 2011) (Wintergreen Studios Press, Canada, 2011)は、思春期の子ども達に俳句を教えるための先生の指導書です。 長年の教師生活を活かし思春期の生徒たちをよく理解した上で選ばれた例句の数々は、若者の心をぐっと捉え自分も作ってみようかと思わせるに十分です。連句や俳画など俳句関連のアートの紹介も豊富です。日本では若者に限らず英語俳句に興味をお持ちの方にガイドブックとしてお勧めいたします。 アマゾンでお求めいただけますので是非ご覧下さい。
本のタイトルは吉野義子さんの句、「村の灯にわが灯加へて春祭」からヒントを得てつけたそうです。
To the village lights
I add my own lantern:
spring festival Yoshiko Yoshino, Japan
first day of spring
the skateboarder
almost flying Terry Ann Carter, Canada
立春のスケートボード飛ぶように テリー・アン・カーター、カナダ
涼しげで美味しそうでしょう?「素麺」中村作雄・画
★「食べられる季語:EAT KIGO!」というタイトルをつけた私の発表ですが、原稿を読み上げるだけではない聴衆参加型あるいは体験型プレゼンテーションをやってみたかったので、実際に会場で味わって貰えそうな日本独特の季語を選びました。何品かは会場で調理をしてみようかと考えていたのですが、梅雨のころに突発性難聴とやらで思うように動けず、結果的には中村作雄さんに絵をお願いして、一つ一つの季語の絵に拙句を添えるという形の発表となりました。それでも心太、梅干などは実際に持っていって試食していただきました。中村作雄さんは、一茶と真砂女さんの一句に俳画を付けてご自身のブログ(http://sakuo3903.livejournal.com/)で発表されている一茶研究家の俳人で「鈴木真砂女さんを語り継ぐ俳句の朗読会」(お陰さまで2011年10月には40回目を迎えました)のメンバーでもあります。 会場では日本食の食通であるデイビッド・ラヌー先生やカーメン・スターバさん、黒田杏子先生のお弟子さんで『私の俳句修行』(中野利子訳、岩波書店)が話題になっているアビゲール・フリードマンさんらが体験談を交えてくださり、最後は枝豆スナックや心太、梅干に昆布・鰹節などの試食会となりました。
胡瓜揉みに添えた一句:
my jade bracelet
clinks as I nod ─
vinegared cucumbers Emiko
頷くたびに鳴る翡翠の腕輪 酢和えの胡瓜 惠美子
この句には、三杯酢の作り方も添えました。胡瓜のサラダは夏の季語。
★アメリカならではのワークショップ、Ruth Yarrow さんの「Our Own Early Awareness of Race into Haiku 子供の頃に意識した自身の人種を俳句に」に参加して子どもの頃を思い出しながら句を作ってみました。
my comb with fine teeth
his comb like a hand
with stretched-out fingers Emiko (15 years old, Ghana)
私の櫛には細かい櫛の目 彼の櫛は指を伸ばした手の様だ
ガーナ共和国に居た頃 宮下惠美子 15歳
sunflower─
the color of my race,
really? Emiko (6 years old, U.S.A.)
向日葵─ 私の人種の色、本当に? アメリカに居た頃 惠美子 6歳
HNA2011 ワークショップ風景、ブルーのジャケットを着ているのがカーターさんです。
★8月5日の夜にThe Haiku Foundationが後援する「Haiku Bowl ハイククイズ」が行われました、鳥チーム、と蛙チーム各4名が司会のJim Kacianさんの質問に笛の合図を鳴らしてから答えます。当たっても外れても記録係りのCharles Trumbullさん(「モダンハイク」誌編集長)が音響効果を付けてテレビのクイズ番組そっくりに会場を沸かせながら点数を競いました。「芭蕉の若い時分の俳号は何か?」「テンローの創立者は誰か?」「この句の作者は誰か?」「アメリカハイク協会の創立は何年か?」結局、勝負は引き分けでしたが、鳥チームの私は、チームのために日本俳句に関する問題に答えることができてほっとしたのでした。テンローは「天狼」、山口誓子が答えでした。
★HNA2011の全体の流れや詳しい様子はホームページ http://www.haikunorthamerica.com/またはfacebook のHaiku North Americaでご覧ください。
★平成23年9月8日‐11日は、国際交流基金の助成を頂き、Yuki Teikei Haiku Society http://youngleaves.org/のAsilomar Reteat で、種田山頭火の紹介と日本式句会、それから『がっこうのうた』からの朗読をしてきました。創立者の徳富潔・喜代子夫妻の名前を冠した俳句大会の今年の選者はHIAの木内徹先生とkris moonさんでした。
最優秀賞の句は:
the familiar cough
of the neighbor’s old Chevy
winter solitude Billie Dee of San Diego, California
隣人の古い自動車の懐かしい咳 冬至 ビリー・ディー
中村作雄さんの俳画(パネル)中村作雄さんの俳画(パネル)が最優秀賞の記念品でした。
★山頭火のパワーポイント作成では、山頭火に縁のある地元の方々に助けて頂きました。山口市の其中庵は小郡商工振興会の藤本信夫さんに、松山市の一草庵の写真や資料は愛媛大学の中西淳先生に、そして山頭火が歩いた風景の紹介は下関の写真家稗田学さんの作品を使わせて貰いました。『山頭火』(ピエブックス社、2006年)の共訳、Paul Watskyさんもサンフランシスコから駆けつけて下さり、二人で原句と英訳を交互に朗読することが出来ました。作品だけではなく山頭火の日記の抜粋を用いて山頭火の人となりを紹介しました。ころり往生はpop of。最後に、芭蕉の3300基に続き800基と全国で二番目に句碑の多い山頭火の<句碑巡礼の旅>を提案し、是非海外からもお出で下さいとお誘い申し上げて小郡市に立つ16基の句碑の俳句の英訳を朗読しました。
山頭火の発表後にYTHS会長のアリソン・ウーパートさんとポール・ワツキーさんと。
★日本式句会は有馬朗人先生の「天為」俳句会の東大銀杏句会をお手本に、無記名で短冊(インデックスカードを使用)、清記、互選、互選用紙の記入、披講、講評と、流れを体験して貰いました。一字一句間違えないように書き写すこと、静かに沈黙のうちに清記用紙が回ることなど、普段の合評形式の句会とは違った趣に参加者は、一句一句を尊重しながら扱う日本式の句会に感銘を受けた様子でした。大会の最終日には句会報も出来上がり、高得点順に句と作者の記録が残っていくのも日本式句会の誇るべき特色でした。
日本式句会を始めるに当たっての心得伝授風景、「丁寧に書き写して下さい!」
最高得点句:
a long pause
enters our conversation
─tonight’s misty moon Alison Woolpert 7 votes
会話の中の長い沈黙 今宵の霧の月 アリソン・ウーパート 7点
flute music
leaf by golden leaf
autumn improvises Joan Zimmerman
フルート曲 (緑色の)葉の隣の金色の葉 秋の即興 ジョウン・ツイマーマン 7点
ありがたいことに私の句も取っていただきました。
the sand dune
brighter than the sea─
shearwaters Emiko Miyashita
海よりも明るい砂丘 波に群れる大群の鳥 宮下惠美子 7点
★HNAでもやりましたが、ここでも『がっこうのうた』からの朗読会をいたしました。ドイツ語、中国語、フランス語などを母国として話す参加者が原句を読み、日本語と英訳も読みました。一句ずつに添えられた絵も素敵で好評でした。テキストとしてHNAとアシロマー研修で合わせて30冊をご協力頂きました。隔年に開かれる世界こどもハイクコンテストの締め切りが今年の10月31日です。テーマは「お祭まつり」です。詳しくは日航財団のホームページで:http://www.jal-foundation.or.jp/newlink/sekaikodomohaiku.html
★HNAとアシロマー研修の間に、白樺と赤松の森と湖の国フィンランドの首都ヘルシンキとバルト三国の旅をして来ました。ヘルシンキでは英語でハイクを書いて居られるGerard KrebsさんとRiitta Rossilahtiさんに国立博物館の中庭でお目にかかることが出来ました。珈琲で乾杯をして第一回ヘルシンキ国際俳句大会とこの会を名づけてきました!フィンランド語と英語の二ヶ国語の句集から作品を読んで下さったリタさんは名古屋万博に来日されて俳句の朗読をされたそうです。
★ご健吟を!