Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

星の時計のLiddell

2018.07.13 13:27

天使がおりてきて

ささやく




これは秘密(ないしょ)だけど




秘密(ないしょ)だけど…





----------------------------



これは、内田善美著「星の時計のLiddell」の、最終話の一節。





1982年連載開始、1985年に第1巻刊行。連載開始は36年前なんだねぇ…。

ざっくりあらすじをお伝えすると、幽霊になった男と、その友人の話。(さっくりすぎやしないか…)




発売当時、「少女漫画の金字塔」とか「最高傑作」とか、なんだか物凄い帯があって、やたら豪華な装丁(33年前のワタシにはそう見えた)で、手が届かない傑作…と思っていたのだけど、どうしても惹かれて購入して、読み倒して読み倒して、更に読み倒して、埋没した作品です。




なんとなく、いつも読み返していて、先日、また呼ばれた感じがして、読み直しました。




読む度に、気づきが増す感じ…。

ぼんわりとしていた輪郭が、徐々にはっきりしてきて、固まっていくような、そんな感覚があります。




物質世界を追求しすぎた為に、精神が追い付かず、乖離を起こす…という登場人物達の会話は、現代社会の問題を先取りしているし、中でも、新しい人類の登場についてとか、能力ではなく、精神が大事なのだ、とか、そういった内容は、今も(というか今になって)声高に叫ばれている事かと思います。




36年経って、ようやく、精神世界の重要性について、憚りなく注目できるようになった…ということでしょうか。





作者の内田義美さんが、サイキックだったかどうかはわかりません。特別、スピリチュアルな内容を描こうとしたとも、あまり思えません。




作者の内側をどんどん視ていったら、このような作品ができた、としか言えないのですが、きっと、描きたかった世界だったのではないかな…と感じます。




この作品の後、「草空間ーめらんこりかるshoppingー」を最後に、作家活動をやめ、実家で暮らしているそうですが、これも1997年の情報なので、今はどうされいるのか…。




ご本人が単行本の復刊を望まれないということで、古書扱いとなっていて、高値がついてしまって、入手困難ですが、どこかで出会えたら、是非、手に取っていただきたい漫画です。