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マヤ

『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI④ 三代目妄想劇場ショートストーリー

2018.07.14 22:00

ピコン♫



隆二のiPhoneが鳴った。



「伸くんと啓太くん、下に着いたって」



「ん、出よう」



臣がダイニングテーブルの上に置いた水筒に気づいた。



「あれ?水筒…」



「あ!しまった…お茶入れてたっくんに持たせるの忘れてた…」



「2〜30分の事だし、マネージャーに任せとけば大丈夫だよ。待たせちゃ悪いぞ!」



「そうだね、行こ!」



玄関のキーを手にした隆二は、再びテーブルに置かれたアンパンマンの水筒を見た。



何か心に引っかかるものがあったが、臣に促されて自宅を出た。



一階に降りてマンション前に停まっているワンボックスカーに乗り込む。



LDH事務所の社員が運転席に座り、

一番後ろに臣と隆二が並んで座った。



中央のシートには劇団の伸之と啓太が座っている。



「お久しぶりです」



啓太が振り返り二人に笑顔を見せた。



「あれ?今日隆臣くんは?」



伸之も振り返って二人に尋ねた。



「今日はお留守番でね」



「そうですか。俺、隆臣くんに会えると思って楽しみにしてました」



啓太が爽やかに言うと、



「式場で遊び相手になるの楽しみにしてたんですよ」



伸之も残念そうにしている。



「二人とも嬉しいことを…ありがとね」



「凹むくらいなら、最初っから連れて来ればよかったな」



臣が隆二の頬を軽くつねって言った。



「…お酒も入るから留守番させようって言ったの臣じゃん…」



少し赤い顔をして、臣の手を握る。



「いつまで凹んでんだよ。お祝いの席に行くんだろ?」



「だって…」



「昨日はパーパ仕事行ったきりで帰ってこなかった…って拗ねてたんだよ、きっと」



「そっか…俺帰った時はもうクタクタだったもんね」



「…ほんと、イヤイヤ親子には世話がやけるよ」



片方の眉を少し上げて笑い、臣がまた隆二の頬をつねった。



「おみ…」



キスでもしかねない二人の様子を見て、伸之と啓太は黙ってゆっくり前を向いた。



「伸…なんか暑いね」



「気のせいですよ、啓太さん…」



後部座席の二人にあてられて、真っ赤な顔をしている若い二人をミラー越しに見て、ハンドルを持つ社員も笑顔を見せた。




つづく