原宿ロールアイスのワークショップ性
ふつうのことを、素敵な経験に変える。
2018.06.16の東洋経済オンラインで紹介されていたロールアイスのお店の記事を読んで、ワークショップの運営と共通することがすごく多いなぁと感じました。
クラフト系ワークショップと どこが共通するのかというと、モノ(記事ではアイス)を提供する場全体を商品だと自覚して「体験」をデザインしている点です。
このお店の商品要素を見てみると、特別なものではありません。商材であるアイスを売るお店は他にもあるし、店頭調理で提供するスタイルも全国のフードコートでよく見られます。言ってしまえば「ふつう」のお店と捉えることができるのです。
そのふつうを、人気店にしているポイントは何なのでしょうか。ハーゲンダッツだって300円で買えるというのに、2倍以上の800円出してアイスを買う人がたくさんいるのです。その行動の裏にはどんな気持ちがあるでしょう。なんとなくわかる気もしますが、せっかくなので私なりに考えて言葉にしてみることにしました。
このお店で商品が売れる原点となっているのは、まずは商材であるアイスがカワイイことだと思います。それによってインスタ映えという付加価値がもたらされ、商材のアイスは食品から撮影用のプロップへと性格付けが変わります。
このお店に来るお客さんは撮影用プロップ、つまり小道具が欲しいんでしょうか?いいえ。欲しいのは素敵な写真ですね。インスタ映えってやつです。更に言えば、その写真をSNSで公開したり投稿に いいね をもらうことで満足感を感じたいと思っているはずです。
満足感は、人気のお店で買い物をした自分、インスタ映えする写真を撮れた自分、いいねをつけてもらって承認される自分… つまりアガる体験によって得られます。
ということは、お客さんはアイスという「モノ」を買いにきているのではなく、このお店でアイスを買ったという「自分の体験」にお金を払っているのです。つまりこのお店の商品はアイスではなく体験です。
体験こそが真の商品であるという見方をすると、商品価値はこのお店で過ごす時間の質にあります。そこでの体験が楽しいものであればあるほど商品価値が上がります。
高い期待とモチベーションを持って来店するお客さんにとっては、行列に並ぶ時間も体験の一部ですから、待ち時間が長いことは目標を達成するための試練であり、やり遂げることでアイスを受け取る時の満足感達成感が増すことにもなります。つまり体験の価値が上がり、お客さんは行列でも並び、高いお金でも払ってくれるようになります。
記事中でも触れられていますが作っているところが見える点は、アイスの完成を待つ時間をワクワクするようなショーにしていますし、お客さんが自分でトッピングを選べる点なども、ショーに参加することで体験の満足度を上げる仕掛けになっていると思います。
ところで、ワークショップに参加する時、お客様は何と言って参加するでしょうか? ほとんどの方は「やってみたい」と口にされます。毎回 イベント会場には魅力的に作品見本を掲示しますが、「それが欲しい」と言って講座に参加する方はあまりいらっしゃいません。つまり、お客様は「モノ」が欲しいのではなく、作品作りという「体験」がほしいのです。(モノが欲しい方は「これは売っていないの?」という聞き方をされることが多いです。)
クラフト系ワークショップも「体験」こそが商品です。そういう視点で見ると、この記事のアイスクリーム屋さんの運営の工夫はワークショップに応用できるものです。お客様が作品という「モノ」を作り上げるまでの時間を素敵な「体験」にするためにはどうしたら良いのだろうか?
人気のワークショップ講座も、そんな気持ちから生まれていくのです。
今日はここでちょっと告知。
8/24(金)に「手づくり作家・クリエイターのためのワークショップの始め方講座」を開催します。私がこれまでワークショップを仕事にしてきたノウハウや試行錯誤について、講義スタイルでお伝えさせていただきます。ワークショップを始めたいと思っている作家さん、ワークショップをやってみたけど上手くいかず悩んでいるクリエイターさんのヒントになるような講座にしたいと思います。
ここ数年で「モノ消費からコト消費へ」という言葉もよく目にするようになり、クラフト系のワークショップにも注目が集まっています。商品のPRのために。お客様との関係づくりのために。売上アップのために。様々な目的のために、ワークショップは有効な武器になります。
今から準備を始めれば、来年の夏休みにはワークショップ講師として活躍することだって十分可能です。今回の講義は受講後の無料相談チケットも付いていますので、そちらをご活用いただければ あなたの作品・世界観をワークショップにする1対1でのサポートも可能です。とってもお得な内容となっていますので、ワークショップがやってみたいなと思っている方は、ぜひご予約ください。
イベントページ: http://eventregist.com/e/workshop20180824
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