豊かさで満ちた時間。
Naoyaです。
今日は二十四節気の11番目、小暑です。そして七夕です。小暑もしくは大暑から立秋までの間が暑中で、暑中見舞いはこの期間内に送ります。そろそろ梅雨が明けて、暑さが本格的になる頃と言われます。天気予報を見ていたら、雨量的にひと梅雨分の総雨量に達しているので、もう梅雨明けしてもおかしくないらしいですが、まだ明ける気配は感じられません。
先日、お世話になっているバーテンダーが自分のバーをオープンするとのことで、開店の日に行くことにしました。
かなりこだわりのある人なので、開店祝いに何をプレゼントしようか考えていました。インテリアとして置けるちょっとした水晶のクラスターもいいかと思ったけど、なーんとなくしっくりと来ず。で、ふとひらめいたのがローズマリーの大きめな鉢植え。彼のつくるドリンクのグラスに、ローズマリーの枝が飾られていることもちょくちょくあるので、そんな感じで使ってもらえたらいいかなと思ったのです。ローズマリーはどんどん成長するし、魔除けの効果もあるし、単なる花とか観葉植物の鉢植えよりも彼にぴったりだと思い、近くの園芸店まで自転車を走らせました。
ローズマリーの香りが好きなんです。そのときも園芸店でレジに持って行くとき、自転車の籠に入れてペダルを漕いでいるとき、バスに乗って抱えて運んでいるときなどに、ふわっといい香りが漂ってきました。あるいは、葉に触れた指先を嗅いでみるといい香りがしました。ローズマリーと時間を共に過ごしていると、どこかしらのタイミングで必ず香ってくるんです。
以前、知人の家に呼ばれたとき、夕ごはんでトマトパスタにローズマリーをあしらった「魔女風パスタ」をご馳走になりました。庭で摘んできたフレッシュなローズマリーがおいしさをさらにアップさせていました。自分でも育てていたとき、ジップロックに豚肉とオリーブオイルと岩塩と摘み立てのローズマリーを入れて、マリネにして漬け込んでから焼いたり、ポテトを焼くときに摘み立てのローズマリーを散らしたりしていました。
ハーブやスパイスって、なければないで成立させることもできるけど、あったらあったでいろんな豊かさや立体的な刺激を与えてくれて、眠っている感覚やインスピレーションを刺激してくれます。そのバーテンダーはミクソロジストなので、ハーブやスパイスを多用します。だから、彼がつくるドリンクはおいしいだけではなく、心を豊かにしてくれるし、豊かさで満ち溢れた時間を提供してくれるんです。
開店したバーは隠れ家のようでした。アメリカの禁酒法時代のスピークイージーを思わせるような感じで、入り口はただの大きな鏡。まったくドアには見えないし、看板もないんです。海外だとそういう隠し扉のバーが結構あるんだそう。店内は一面のスモークガラスのウィンドウになっていて、今の季節の夕方くらいだとまだ明るくて、徐々に夜へと暮れていくのを目の当たりにしながらお酒が呑めます。
この前、ちょっと早めの時間から行って、シャバシャバの軽いマティーニにピクルスをペアリングしてもらいました。ピクルスは野菜の他にグレープフルーツや微かにアブサンなんかも入ってて、マティーニのあてとして最高でした。
「なにか聴きたい曲ありますか?」
音楽好きの店主に言われたので、アストラッド・ジルベルト「September 17, 1969」をリクエストしました。おいしいお酒と素敵な音楽、時折何の気なく始まる会話。豊かさで満ちたひとときでした。