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藤田晋 invitational RTDリーグ

貪欲に意見を聞く内川のV字回復!村上の世界一悲しいタンピン三色! RTDリーグ2018 BLACK DIVISION45-48レポート

2018.07.15 10:00

7/9(月)および7/12(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 45-48回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼BLACK 45回戦、47回戦:貪欲に意見を聞く腐らない内川の結実▼▼▼

長らく最下位だった内川がついに多井を捉えたのが前回のこと。

悪い結果が出続けて最下位を突き進んでいた時期も、決して腐らず前を向いていたのが内川だった。

東4局、小林がこの仕掛け。

ペン7mをチーして北を打った場面だ。

これに対する内川。

余剰牌のないイーシャンテンにドラの西を掴んでしまう。

ドラだから、と迂回してしまうことは楽だ。

しかし、どれだけどん底にいようと楽だけはしてこなかった内川は、ここからすっとドラをツモ切る。

内川は、対局後のインタビューで「切り順から小林さんがドラを持っていなさそうだったので」と語った。その思考をひも解くとこうだ。

發のポン出しが9pで、4m手出しの後、生牌の東→1枚切れの北という順番で手の内から出てきた。

ペン7mというネックが残っているのに、好形ターツ候補の4mを切り、打点アップ材料の東を切ってまで、安全な1枚切れの北を抱えていたということになる。仮にドラが固まっていれば真っすぐに打ち進めるはずで、このような抑え気味の切り順にはならないだろう。

したがって、「小林の手牌は、かわし手であることが圧倒的に多そう」という結論になるわけだ。

内川は、どんなに展開が向かなくても、不運が続いても、腐らずにこういう思考を怠らなかった。これまでは、その勤勉さが良い結果に結びつかなかったが、ここでついに結実する。

まず、多井が待ちにも打点にも不満があるが、タイミングでリーチといく。

続いて、萩原も高目三色のリーチ。

これを受けた内川が、さらに追いかけリーチをかけ、多井から一発で打ち取ると、これがウラ3の8,000に化けた。

内川とは逆にここのところ不運の続く多井としては、「ここでリーチしておかないと間に合わない。シャンテン数は読めてる(内川も萩原もイーシャンテンだと思っていた)んだけど、同巡に2人とも有効牌を引いてリーチがかかって、さらに一発で掴むんだもんね。こんな結果は超レアだからなあ」と後悔はないながらも、不運に苦い表情を浮かべた。

一方の内川。このトップで気分を良くしているかと思えば、控室に戻ってくるなり、早速反省タイムに入っていた。

局面は南2局、萩原のリーチを受けてのもの。

これをダマテンに構えた内川だったが、このダマテン判断には迷いがあったようで、すぐに勝又に意見を聞く。

勝又は「リーチしかしたことない。しないなら7sの段階でオリてる」と答え、その話を真剣に聞く内川。それは、とてもトップを取った者の顔には見えなかった。

その後、平賀などにも積極的に意見を聞く内川。

実は、このスタンスは低迷期から変わっていない。

別DIVISIONの石橋はよく「我以外皆師なり」と色紙に書いているが、内川は正にそんなスタンスの塊のような男なのである。


すると、続く47回戦でも、好調そのままに東1局のオヤ番でテンパイ。

待ちとしては悪くなく、ドラ切りリーチも有力だが、内川は打8sでテンパイを外し、ドラにくっつけてリーチ。

これをツモってウラも乗り、4,000オールに仕上げて見せた。

この充実ぶりを見て、暴君・瀬戸熊も、たまらずこの手牌をダマテンに構える。

今日の内川は前がかりに攻めてくるイメージが強く、ここで内川に走られないためにもダマテンでアガリを取りにいった格好だ。

そして、すぐに高目をツモってマンガン。

リーチならハネマンになっていたところ、これをマンガンにさせたのは、本日の内川の出来であったといえるだろう。

結果、瀬戸熊の追い上げも届かず、内川の連勝となる。

これで内川は300以上あった借金を返済し、驚異的なV字回復でついにプラス域へ。

それを支えたのは、誰にでも意見を聞く貪欲さと、腐らずに楽をしなかった勤勉さのように見えた。


▼▼▼BLACK 46回戦:いつも攻めている瀬戸熊の強烈な本物ダマテン▼▼▼

6本場で供託2本があるため、1巡目にカン4pチーから入った白鳥が、松本のリーチを受けて手を止めた。

白を打ってタンヤオに向かうのも選択肢の1つだが、松本の捨て牌が変則手気味で白は打ちにくい。

ならば、アンパイの6pと安全そうな5pを払い、白が先に出たときだけ戦えるようにしておくというのが白鳥の選択。

そして、実際に松本のリーチは白単騎のチートイツ。白鳥は見事松本のリーチをかわしたのだった。

しかし、白鳥がまた手を止める。

今回の重要ファクターはオヤの瀬戸熊が押していることだ。

現物なら今通った8mを打てばいいのだが、供託と積み場で4,800ある今局で簡単にはオリたくない。

そこで白鳥は、良さそうなカン2sを固定し、白が出たときに戦えるようにする打3sでイーシャンテンキープを選択する。

実に白鳥らしい鋭い選択に映ったのだが・・・

これが瀬戸熊のダマテンに捕まり、12,000。

白鳥「瀬戸熊さんはいつも押してる人だから、(テンパイしているのか、高いのか)全くわかんない。タンヤオのみのテンパイとかイーシャンテンも全然あるんだもん」

白鳥が言うように、瀬戸熊の押し基準はかなり掴みどころがなく、こういう本物のダマテンを入れられると対局者としては非常に対応しにくい。

そして、「こういう大物手で突き抜けてしまうと、さらに押してくるのが瀬戸熊」でもある。そのイメージにやられたのがやはり白鳥だった。

「瀬戸熊さんが怖すぎた。だって絶対押してくるし」と言う白鳥はこの手をダマテンに構え、結果一発ツモ。マンガンのアガリとはなったが、普通に打っていればハネ満以上だったため、微妙な結果を掴まされてしまった。

オーラス、白鳥はトップ目松本のオヤリーチに追いかけ、なんとかアガり切るも2着止まり。

瀬戸熊がギリギリ逃げ切った。一方、東4局でもアガリ逃しのあった白鳥は、「誰でもトップになれてた。下手だった」と漏らしている。

残留争いの松本は痛恨の3着落ちとなってしまった。


▼▼▼BLACK 48回戦:村上の世界一悲しいタンピン三色▼▼▼

多井のリーチと村上のテンパイをかわして4,000オールで先制したのはまたしても小林。いったいどこまでポイントを伸ばしてしまうのだろうか。

一方の最下位村上は厳しい。

南場のオヤ番をラス目で迎えるのが、何やら恒例行事のようになってしまっている不運の村上。このオヤ番だけはなんとしても落とせない。そんな連荘必須の状況下、村上は上家の放った6mをポンせずヤマに手を伸ばした。

これには多くの視聴者の方が悠長すぎると思ったようで、「鳴かないと間に合わない」といったコメントが多く挙がっていた。

しかし、決してそんなことはない。もちろんポンも有力な選択肢の1つだが、スルーも理に適った選択に見えた。

何でも鳴ける相手と打っているわけではないのだ。この6mをポンすると、字牌がヤマに浅くなかった場合、出てこないことが多くなる。すると、この手牌はテンパイにすら到達しない。

つまり、横に伸びる6mはこの手牌の急所ではなく、この手牌の急所は字牌であるといえる。ならば、6mをポンせず、字牌の出やすさを上げながら、字牌が深かったときのためにメンホンチートイツの目を残しておくというのが、村上の選択した道というわけだ。

この村上らしい選択に、「村上淳はまだ死んでない」と思わされる。

結果、字牌が浅く、2つポンできてなんとかテンパイまでたどり着くのだが、同巡に白鳥がツモアガリ。

1手届かなかったという結果だけ見ると、悠長すぎるという意見が出やすいのもわかるが、私には非常に冷静な村上淳の麻雀に見えたのだった。

そしてオーラス、ここでラスだと最終節に7位浮上が厳しくなる村上がタンピン三色を白鳥からアガる。

もちろんラスのままだが、こうなってしまった以上少しでも素点を回復するしかない。こんなに悲しいタンピン三色があるだろうか。

これがなぜ東1局に入らないのか。そんな村上の叫びが聞こえてきそうな悲しきマンガンで第8節が締めくくられた。

ついに残すは最終節のみ。

準決勝争いは5位の萩原までに絞られただろうか。

残された多井、松本、村上の3名には、残留を賭けた厳しいサバイバルが待ち受ける。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回7/19(木)21:00からBLACK DIVISION 49-50回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定(※7/16は麻雀駅伝2018のためお休みとなります)