読んだ本:ヤバい経済学②
おはようございます。
理学療法士の倉形です。 今日も昨日に引き続き、『ヤバい経済学』という本に関して書きます。
この本の中で著者達は、『大相撲には八百長がある』という前提で話をしています。
重ねて言いますが、私個人的にはあまり相撲に関心がないので、八百長があるのか、ないのかに関して何か言うことはできませんし、特に言う気もありません。
前回、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士が8勝や9勝の力士と対戦すると期待値を大きく上回る勝率になるという所まで書きました。
これだけでは、『ただ、7勝の力士がモチベーションが高かっただけでしょ?』で終わってしまいます。そこでこの著者らはその次とさらに次の対戦に関しても調べています(意地悪ですが、私はこういう姿勢が好きです)。
すると、次の場所でお互いに7勝同士でない状態で対戦した場合の勝率を調べると、前回勝たせてもらった(?)力士の勝率は40%ほどになるそうです。さらにその次の対戦ではおよそ50%に戻る(勝ち星の貸し借りは次の対戦まで)ということを明らかにしています。
ちなみに、個別の力士同士の対戦だけでなく、部屋同士でも同じような星のやり取りを伺わせるデータとなっているとのことです。
もちろんこのデータをもって、『確実に』八百長があると立証できるわけではありません。ですが、強力に示唆できます。実際に数年後に八百長を暴露した力士が出たことで、著者たちの主張はおおいに説得力を高めました。
私がこの経済学者の洞察が好きな理由は、漠然と全体のデータを見ているだけでは見えない事実を、鋭い洞察をもって『セクシーな問い』を立てて真実に迫ったからです。 大相撲の八百長疑惑は、ずっと昔からありました。あのような狭い業界内で多額のお金が動いていればそういったものが全くないと考えるほうが不合理です。
でも『八百長はあるに違いない』派と『いや、あるわけがない』派という正反対の主義の人間同士が議論をすれば水掛け論で終わってしまいます。そこでデータを使って議論することが重要です。
もしもこのデータは参考にならない!!と『八百長はない』派の人が主張したければ、その様なデータを出して訴えればいいと思います。
仮に、相撲に本当に八百長があるとして、プロレスの様に「そういうものだ」と思って楽しむならばそのままでいいし、「日本の国技なんだから八百長なんて絶対に許されない!!」と思うならば、8勝や9勝の力士が千秋楽で勝つことに対して、強力なインセンティブ(その場所で負けてあげることで次の場所で一つ白星を得る以上のもの)を設定すればいいんだと思います。 力士の品格(?)のようなものに頼るよりも、インセンティブを上手く使った制度設計をするほうが合理的だと個人的には思います。
7勝7敗の力士の対戦という状況をピックアップし、除外基準として7勝同士の対戦や10勝以上との対戦を設定するなど、「は~、頭いいな~」と思わされます。次世代のノーベル賞候補なので当たり前と言っちゃ~当たり前なのかもしれませんが・・・。
もちろん他のタイプの本も読みますが、最近はこういう本を好んで読んでいます。
もし少しでもご興味をもってもらえれば幸いです。
で、結局いつもの話に戻ってしまって恐縮なのですが、『あるリハビリ手法が効くか、効かないか?』に関する議論はデータに基づいてするようにしましょう。という所に落ち着きます。ワンパターンと言わないで( ;∀;)
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史