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のべるぶ

連詩「赤橙」

2023.07.07 12:45

【赤橙】

作:せしぼん&にょすけ

ドアノブには天使が居た。

「さよならだね」と泣く君の、

頬は夕焼けと同じで、

愛のない世界のそれと

全く同じだった。



銀色の鍵は冷たくて、

燃えているなんて嘘みたい。

「許さない」

胸の奥を激しく叩いて

溢れんばかりの悪魔が咲いた。



連立方程式の午後。

紐解くこともできない、できない指。

「結ぶのでもなく」

「切るのでもなく」

「ただ、」

「ただ繋いだんだ。」

愛のない世界。

I know 無い正解。



芽吹きの朝焼けを怖れて

解けないこの指を

メンデルが笑ってる

さんせいのはんたい

紫陽花の露が枕を濡らした

愛のない世界。

I know 無い正解。

ブルーベリーなんてくそくらえ



扉を開く。開いたあと。

差し込むのは赤橙が洩れた、

さんせいのはんたいの、はんたいだけ。

ぜんぶぜんぶ、君が言ったからだ。

そのまま呪うみたいに

咲いた悪魔をいかしつづけて。

ブルーベリーなんて、くそくらえ



20番目の悪魔が咲いて

するりするりと解けていく指

頬と、夕焼けと、紫陽花と、

扉の中のながい夜の向こう

今にも燃え尽きそうな「さよなら」は

愛のない世界を踏み抜いて、踏み抜いて、踏み抜いて

遥か遠き赤橙へ進む。