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昭和キッドの記憶のカケラ

玩具と教材の境界線

2018.07.16 08:03

子供がいる家庭では

必ず一台はあった地球儀。

昭和時代から学習用として人気の教材だった。

              ㈱デビカHPより

画像は

現在、販売されている地球儀(デビカ製)価格¥4,000

弓と台座のデザイン性が高く

今時の地球儀の標準型と言える。

(後半登場の昭和の地球儀との比較参考としてアップ)


今では

昔ほど地球儀を見かけなくなった気がするが

やはり「Google Earth」「NASA World Wind」など

電子版地球儀が徐々に浸透してきたことが

原因であろうか。


特に学習地球儀は

昭和30~40年代が全盛期だった印象がある。

貧乏だったわが家にも地球儀はあった。

写真は昭和39年頃の1枚。

注目していただきたいのは

変装メガネでオチャラケている5歳児の私ではなく

写真上部にある地球儀。

生活が苦しかったはずなのに当時¥2,000ぐらいした

(今換算だと¥20,000以上?)地球儀が鎮座している。


白黒テレビ+ラジオ(真空管式でとてもでかい)+地球儀の

三段重ねだ。

貧しい家は当然狭く

家電や雑貨を積み重ねざるを得なかった。

このことを

「貧困のブレーメン(の音楽隊)現象」

と私は勝手に名付けている。


それはさておき

そんな地球儀人気の流れに乗って

地球儀を模した玩具も多く見られた。


本日は

昭和の地球儀型の玩具(4種)と

学習地球儀(4種+α)を一堂に集めて

玩具系は地球儀として使えるのか

また昭和の地球儀は今の物とどう違うのか

見てみたいと思う。


まずは玩具だが

当時、学習地球儀は高額品のイメージがあったが

それが玩具であって地球儀としても使えるなら

なんてお得なんだと一瞬思ったものだ。

駄菓子屋で売られていた

地球儀型コマである。

ブリキ製で全長約7cm(メーカー不明)


上部の赤/青の部分を手で巻いていくと

中軸のスプリングのネジが巻かれる。

最上部の突起を押し込むとストッパーが外れ

ものすごい勢いで回り出す。

実際の地球だったら人類は大変なことに。

玩具としては申し分ない。

地球儀としてはどうだ。

JAPNと表記されていなければ

ピクトか何だか分からないだろう日本の地形。

地球儀としては使えない!

● ●!(ギター侍の決め台詞)←中途半端に古い!

続いても

駄菓子屋玩具で

ブリキ製 貯金箱 全長約7cm(メーカー不明)

上部にコイン投入口があり

台座の裏から取り出す仕様。

地図の精度だが

地形で日本と識別できて首都も表記している。

ちょっとは学習の参考になるかもしれない。


続いては

ブリキ製で全長約15cmの貯金箱。

小型卓上用の地球儀ぐらいのサイズで

国旗の表記まである。

だだしトレースの精度がイマイチで

地形が粗雑で玩具の域を出ていないのが惜しい。

でも

天面には方位磁石を配したり

台座と球体が分離式で

球体底は鍵付きでしっかりとした構造になっている。

片隅に企業マークがあって

調べてみると㈱今北(現在は存在しないようだ)

駄菓子屋ではなく箱付きで玩具専門店で売られていたものだろう。

ブリキ製の飛行機周り。高さ約20cm。(メーカー不明)

ネジを巻くとゼンマイで飛行機が地球の周りを回る。

地球のサイズは約6cmなので仕方がないが

地図のトレースは雑である。

日本はTOKYOの記載がなければ

色といい形といい芋虫にも見える。

地球部分はあくまで雰囲気だけだ。


ここまで

一見、地球儀兼用かと思わせたものもあったが

ほぼほぼ玩具であった。

それにしても英字表記が多く

海外の地球儀をモデルにしているような印象を受ける。


雑な地図に目が慣れてしまっているので

ここで

本物の地球儀を見て正しい感覚を修正しておこう。

リプルーグル・グローブス社(米国)

球径約30cm。

mede in U.S.Aであるが日本販売向けの日本語版である。

やっぱ全然違うよ本物は・・・

と心の中で思わずつぶやいてしまうほどの精巧さ。


地球儀型玩具のあとのこの本物の登場は

友達同士でカラオケを楽しんでいたところに

急に一流のトップ歌手が割り込んできたような感じだ。

社名を最初に出したのも

90年近い歴史のある

地球儀の代名詞的存在であるブランドネームであるからだ。

通常小売価格は2~3万円から

100万円以上するプレミアムなものまで

幅広く流通している。


これは中古格安で手に入れたもの。

かなり古く

経年の汚れが層になって薄黒くなっていたジャンク品で

昼食代程度の価格だった。(その後、根気よく丹念に汚れを落とした)


写真では分かりづらいが

表面は立体になっていて

思わず山脈の盛り上がりを触って確かめたくなるのだ。


いつ頃のものか確認すると

●ソビエト連邦表記あり⇒1991年以前

●ドイツが東西に分かれている⇒1989年以前

●ビルマがある(現:ミャンマー)⇒1974年以前

上記すべて該当するので

1974年より古いことは分かった。

一般的な地球儀は

学習机の上や学校の教室にしっくりとなじむが

これはやはり書斎ですな。

琥珀色のグラスを傾けながら地球儀を軽く回し歴史に思いを馳せる

そんな姿が似合う人間になりたいな。


地球儀全盛のこの時代

日本のメーカーも競争激化で

デザインや機能に工夫を凝らした商品が

数多く企画されていた。

台座を利用して半球の月がデザインされている。

1969年アポロ11号の人類初の月面着陸に合わせて

発売された物だ。

製造は中日教図(ネット検索でヒットなし)で球径約20㎝。

箱に値札が付いたままで当時¥2,000で販売されていた。

外箱も残っていたのでついでにアップしてみた。

記事冒頭のデビカの地球儀のそれと比べると

遥か昔、50年の時の経過を感じてしまう。


もしこの2つの箱が何かのオーディションの

決勝戦に出ていたら

審査員の私はこの高級地球儀教育用に札を上げる。

他の4名の審査員はデビカの方に上げるだろう。


なにがいいかって、なんといっても

タイトル文字

今ではありえないフォント(書体)が

ハリハリしていてよい。

Tシャツにプリントされて

¥1,980以下で売られていたら買ってしまうと思う。


あとこの書体

どこかで見たことあるようなと思いつつ

なぜか「桂花」のラーメンが食べたくなった。


次の地球儀にいきましょう。

一見

スタンダードなものと思いきや

軸部分が

南国キャラだ。

「こんにちは~」と挨拶したくなるかわいさが漂う。

製造メーカーは奥村越山堂で球径約20cm。

このメーカー「アルコ」ブランドで

かつて数多くの地球儀を手掛けていた。

当時は

タカラのダッコちゃん(ビニールトイ)の大流行や

カルピスなど企業マーク、お土産こけしに至るまで

南国キャラがかなりのブームで

同社もそこに目を付け企画したようだ。

(当時の一般的な呼称は「・・んぼ」で

南国キャラは私が勝手に命名しております)

南国キャラはたくさん集めて飾ると

健康的で楽しい雰囲気になってとてもよい。

地球儀の周りに

観光地土産の南国キャラ(こけしタイプ)を陳列してみた。


日本のメーカー物をもう1品

計測機能MAXのこちらを

学習天文地球儀 国際情報社+山口天文機器製作所

(記事最初の画像もこの地球儀)

こちらもビルマありで1974年以前に作られたもの。


台座は方位盤になっていて

余すところなく目盛が印刷されている。

この地球儀の特筆すべき意匠

ツンと突き出た赤い玉は太陽を表している。

そこにカメラをギリギリに寄せて地球儀を眺めてみると

インスタ映えしそうな画像になった。

いい感じで疑似宇宙的視野が拡がり

宇宙飛行士になった気分に。

(球体の大きさの逆転現象は大目に見て)

ここに「いいね!」ボタンがあったら自分で押してしまうだろう。

太陽の反対側は

夜を表現する半透明のグレーのカバーが半球を覆い

太陽を動かすとちゃんと連動する。

実によくできている。

季節、月によって

季節板の目盛に太陽の位置を合わせると

太陽の軌道の違いを表現できる細かさだ。

楽しみながら学習できるすぐれ物と言える。

可動域広くギミック満載につき

小学生に必要以上に動かしまくられ

壊れやすい運命になるだろう。


この時代

計測ばやりだったのか

最後に地球儀ではないが

参考品を1点紹介しておこう。

昭和30年代まであった菓子メーカーのハリス

かつてはガムやチョコレートでヒット商品連発し

今の中高年にはお馴染みのブランドだった。


お菓子を買って懸賞応募してもらえたものだろうか。

(または株主用記念品か)

地球観測年記念となっているが

調べてみると1957年なので

その前後につくられたようである。

蓋を開けると計測盤が折り重なってますが

組み立てると

しかし

どうやって使うのかわからない。

取説書がないのだが垂直盤の裏に説明があった。

「え”~っ!」

と理数系苦手な者にとっては

思わず声が出るたっぷりの公式っぷり。


結局よくわからないまま

この計測盤の紹介を終了させていただきたいと思います。

ご了承ください。


気を取り直して

参考資料を1冊

「科学大観 第3号 地球特集」世界文化社 1963年発行


この科学大観

書店での販売ではなく

訪問販売による購読契約で

毎月自宅に届けられる書籍であったと思う。

昭和30~40年代は

書籍に限らずこの手の販売方法が盛んで

各社セールスマンが毎日のように売り込みに来て

勉強をしている私をしばしばイラつかせた。

(訂正:× 勉強 ⇒ ○ 遊び)

中をのぞいてみると

地球誕生の時の迫力あるイラストや

昔の人が考察した地球の姿、もちろん初期の地球儀も。

さらに、世界観、宇宙観等が

詳しく解説されている。


こんな解説を読んでいると

天球儀や月球儀にまで話を広げたくなる。

昭和の天球儀には

地球儀同様、計測やギミックに凝った物など

記事アップのし甲斐があるものが多くあるので

月球儀を含めそのうち別枠で特集したいと思う。


地球儀もさらに掘り下げたいところだ。

日本では

地球儀が最初に作られたのは

江戸末期から明治とされているが

さすがにそのクラスの現物があったら博物館級なので

一般市場にはまず出てこない。

(散歩してたらゴミ置き場に無造作に置かれていた

なんてことがあればいいな といつも思う)


でも

昭和初期(昭和7年~20年ごろ)の地球儀は

何個か手に入れているので

これはこれでまた機会があれば特集したい。


判断基準はこの時代レベルになると

●日本の韓国併合 ⇒1910年~1945年

●満州国がある ⇒1932年~1945年

●シャムがある(現:タイ)⇒1939年以前

などと変わってくるが

そうやって年代を絞り込みながら解明するのも

結構楽しい。