KAWASAKI ZXR750 1989
KAWASAKI ZXR750 1989
“レーシング・スーパーウェポン”という過激なキャッチフレーズを携えてデビューしたスーパーバイク。ZXRシリーズ共通のクールエアインテーク・システムを採用。フェアリング左右のダクトよりシリンダーヘッド上部へ直接新気を送り込むことで、ラジエターやエンジンの熱による影響を受けず、エンジン温度の上昇を抑え、充填効率の向上や高速での連続走行時の熱ダレを回避。常に安定した高出力を得られるものとしている。フレームは400とは異なり、アルミ製のダウンチューブを持つ新設計の“e−BOX FRAME“。メインパイプは、400の120 × 30mmに対し僅かに縦方向の幅を縮小した100 ×32mmに設定。ダウンチューブそのものはボルトオンで取り外しも可能で、メンテナンス性は容易。ステアリングヘッドパイプ回りはアルミ鍛造製。スイングアームブラケット部は中空アルミ鋳造として、各パーツに適したフレーム構成を図っている。ZXR250/400 に与えられた倒立サスは、このモデルには無く、翌々年(1991y) にデビューするモデルチェンジ版から採用される。ホンダのRC30 (1987y) やヤマハFZR750 R(0W−01/1 989y)、スズキGSX−R750 R(1989y) のように、レース対応に専用のスペックを与えたモデルを供給することもなく、ZXRは独自の思想を持って誕生した。そこには、TT−F1が参加者に強いるコスト面での負担の増大もあり、決して理想的なレース化が図れないというカワサキなりの判断も伺わせていた。積極的に押し進めるのであれば、むしろ“スーパーバイク”が理想的としていた。ZXRは、こうしてコストパフォーマンスに根ざした設定の改良が施されていく。翌年(199 0y.1) には、カムの変更によるバルブタイミングやリフト量に変更を加え、更に吸・排気バルブの大径化、吸・排気ポートの形状変更。また、ピストン/ピストンピン/リングの軽量化等、積極的な改良が図られたマイナーチェンジモデルが発表されている。バックトルク・リミッター(K−BATL)の装備やキャブレターの大径化(CVKD36→38)。ラジエターをラウンドタイプに、スイングアームもKIS−ARMに変更したNEWZXR750は、向上したパフォーマンスとは逆に価格を85万9千円→81万5千円にダウン。ユーザーにとっては願ってもない実現が果たされた。