2023年初夏クルーズ、強風波浪3日目「小値賀島(笛吹港)港)」嫌って宇久島」へ!
(HAPPY艇からの寄稿記事)
「若松港(S印)」を6時15分に出港して、「小値賀島(G印)」を目指しました。22マイル、1時間15分の航程を走り切り、無事に「小値賀島(笛吹港)」に着ける事が出来ましたが、私はこの判断が正しかったとは思えず、反省しています。
まず、波の高さが想定以上でした。理由は今ならわかります。強風波浪警報3日間、いずれも南西の風でした。「五島列島」の東側海域の航海での経験値で、今回はその逆(西側)となる「若松港」→「小値賀島」海域の航海でした。波の勢い、風の勢いがまるで違いました。追い波はわかっていましたが、高さは時に2mを超え、波頭が一部崩れるものも散見されるようになりました。昨年の「奄美大島クルーズ」(名瀬→古仁屋、向かい波3m)と比べれば、さしたる怖さはありませんでしたが、自分の想定を超えてしまったという意味でダメですね。
次が、「小値賀島(笛吹港)」の到着時間と潮汐の関係です。出発地の海況、都合で出港時間を決めましたが、その1時間半後の「笛吹港」の状況をシュミレートしていませんでした。実際には大潮の干潮時間と重なり想定していた岸壁に南西7m、雨降りの中で強行接岸するのは無理でした。まず登れない、降りれないからです。
良かったのは事前に漁船専用の公共桟橋の存在を確認していた事です。狼狽する事なくまずはそこに仮止めと判断し、定点維持スイッチに切り替え、大雨のデッキに出て大型、中型フェンダーを十分にぶら下げました。その上で寄せの強風を利用して浮桟橋に平行に接近、あとは艇が桟橋に押し付けられるのを待ち、舫を結びました。
これを目ざとく見つけた、漁師がわざわざ雨の中飛んできて、「ここは荷揚げ、給油、氷積み込みに使う桟橋、着けてはダメだ、岸壁につけろ」と言い立ててきました。「わかりました、風が落ちたら移動します」でその場を収めましたが、航行中漁船は一隻も見ませんでした。
その後、漁協にいつもの手土産持参で挨拶に行きましたが、帰ってきた返事は「確かに漁師の言うとおりだが、このシケで誰も漁に出ていない、反対側につけてくれるならいいですよ」で一件落着しました。その後、雨の合間を縫って泊地研究に出かけましたが、給油以外で泊地として評価できるものはなく、この港に漁師に気遣いながら滞在を続けるのは嫌だなと思い始めました。
16時、「Windy」上では相変わらずの南西8mでしたが、強風波浪警報が解除され、風が落ち始めました。漁船もちらほら出港していきます。港開口部先に見えていた白波も消えています。「よし、勝手のわかっている宇久島フィッシャリーナに逃げ込もう。あそこなら嵐でも大丈夫」と判断して異例の16時出港としました。
S印の「小値賀島」からG印の「宇久島」までは10マイルもありませんから30分で着きました。「さあ、ここなら漁師に気兼ねなく何日でも避難籠城ができるぞ、水は桟橋に来ているしトイレは近い、買い物、給油も便利」とほくそ笑んでしまいました。
いつものように静寂な「宇久島フィッシャリーナ」ポンツーン。