【ブログ】WELCOME!ROOKIES. 大籔洸太[WTB]
WELCOME!ROOKIES.
大籔洸太[WTB]
3代目の決意。
長年のトヨタファンなら、苗字でピンとくるかもしれない。
今季、帝京大から加入した大籔洸太の父は1990年代後半、トヨタでCTBとして活躍した正光さん。現役引退後は、コーチやチームコーディネーターも務めている。普通なら父の影響で楕円球を手に…となるが、本人が夢中になったのは白球だった。
「ラグビーは小学校3年のとき、体験会に1~2回行きました。カッコいいけど、ぶつかるのが怖いイメージがあって」
中学3年まで硬式野球の豊田シニアに所属した。豊田シニアは、広島カープの堂林翔太、WBCに選ばれた中日ドラゴンズの髙橋宏斗らを輩出した名門だ。
夢は県内の強豪高校に進んで甲子園に出ること。推薦入学を目指し野球に打ち込んでいたが、手続きに行き違いがあり、願書を出すことができなかった。2015年9月のことだ。
「かなりショックでした」
直後に世界のラグビー界を驚かせる出来事が起きる。2015年ワールドカップで、日本が南アフリカを破ったのだ。深夜にライブで見た父から「1回、観てみろ」と言われてテレビ観戦。たちまち引き込まれた。
「カッコいいなあと」
まさに運命的な出会いだった。始めるなら強いチームに行きたいと、中部大春日丘に進学する。花園常連校とあって中学からの経験者も多かったが、すんなり溶け込めた。
「いい意味でやわらかい雰囲気で、
基礎からしっかり教えてもらえました。初心者にもチャンスを与えてくれた」
野球をやっていた頃から、足には自信があった。ほどなく頭角を現し、高2からレギュラーに。高2、3と花園の芝を踏んだ。
当時から憧れていたのは「トヨタでプレーすること」。幼い頃、コーチをしていた父とグラウンドに行き、トヨタの練習や試合を観ていた。
「一番強いチームで頑張ったら、入れるかなと」帝京大に入学。1年からレギュラー争いに絡むように。3年生の春シーズンまでは順調だった。だが最終学年時、メンバー表に名前はない。
原因は度重なるケガだった。リハビリを終え復帰→受傷の繰り返し。4年の夏合宿で復帰するも、復帰戦で親指を脱臼。治療を終えて10月初旬にグラウンドに戻ると、こんどは初日に手首を骨折した。完治まで5か月。大学選手権は時間切れだった。
「そこでメンタルが落ちてしまって」
地元で手術することになり、監督から「合宿所に戻ったら(ラグビーを)やりたくなるから、ゆっくりしてこい」と温かい言葉をかけられた。実家に戻り、家族と過ごしたり本を読んだりする日々。
「おかげで考え方がポジティブになれた。たぶん監督も、それが分かって言ってくれたんだと思います」
気持ちを立て直して合宿所に戻り、同じくケガで出られなくなった山川一瑳とモチベーションビデオを作ったり、寮の掃除に励んだ。
「一人じゃなかったので頑張れた。大学選手権も、3年の時は実力で試合に出られなくて悔しかったけど、4年生のときは、嬉しい気持ちの方が勝った」
大学のシーズンを終え、トヨタに合流。リハビリを経て、山川と同じくミライマッチの静岡ブルーレヴズ戦でデビューを飾った。1年ぶりの実戦だった。
「楽しくやれました」
強みはスピード。ベストポジションは11番だが、大学時代は13~15番もこなした。複数ポジションができるのは強みだ。
「これからは相手が外国人選手になるので、細かな強さ、ディテールが大事になってくる。1対1で抜き切るだけではなくて、加速して前に出ること。あとは1年を通してプレーすることが課題」
母方の祖父もトヨタラグビー部OB(田中武氏)。3代続けての在籍は初めてのこと。祖父、父と纏ったジャージーを早く着て、デビューを飾りたい。
昨季最後のMIRAIマッチはデビュー戦
2023.4.22 vs静岡ブルーレヴズ