実話怪談~お墓参り~
先週読み終えた怪談本に、お墓参り(先祖供養)の大切さを再度認識できた怪談話があった。
それが次のような話だ。
M子さんには中学生になる息子がいる。
ただ、その子を授かるまで子供ができず夫婦で悩んでいた。
医者も「異常はない」というばかり。
ある日、夫が「ご先祖様に相談してみよう」と言いだした。
そして、それぞれの実家があるN県とK県の墓地へと向かった。
まずはN県。大きな共同墓地で久しく訪れていなかったために、お墓の場所が分からず迷子になって
しまった。
そこで夫婦が困り果てていると、子供の笑い声が聞こえてきた。
声の方を見ると、小学校の制服を着た男の子がいる。
その子は大きな声をだして遊んでおり、「お~い」と夫婦に向かって手を振りだした。
「こんな所で遊んで危ないな」と思っている矢先、その子は「わああ!」と悲鳴をあげて姿を消し
た。
何かにつまずいて転んだと察した夫婦が駆け寄ると、その子は消えていない。
そして、その子が消えた正面にはお目当てのお墓があり、お参りをすることができたのだ。
次はK県。これまた山間部にある霊園で、またもや迷子になってしまった。
「またあの子が出てきてくれたら……」と、呟くと後方から子供の声が聞こえた。
以前見た制服を着た男の子。その子はたちまち二人を追い越して行くと、パッと消えてしまった。
やはり消えた場所には件のお墓があり、無事にお参りを終えた。
その翌年、長男が生まれた。
それからは長男の成長を報告するとともに、毎年お墓参りへと出向いたのだ。
その息子が小学生になった時、不思議なことを言い出した。
「パパとママがお墓の場所分からないようだから、教えてあげたの。
僕ね、寝ていたら夢の中でパパとママがお墓の場所はどこだどこだって、迷ってたから手を振って教
えてあげたんだよ。二回も」
お墓の子と息子が着ている制服はまったく同じ物だったという。
お墓参りに行けば悩みが解消される(子供ができる、仕事が決まる、結婚できるなど)とは言い切れな
いが、見えない力が動いて改善策を頂戴できるかもしれない。
5000話程の実話怪談を聞いたり読んだりしているが、上記のような事例は決して珍しいことではな
い。
⇒何年かぶりにお墓参りへ行ったら、医者もお手上げの難病が治った。
⇒一家離散で悩んでいた女性がご先祖様の元に相談へ行った後日、旦那、息子、娘が戻ってきて再び
家族で幸せに暮らし始めた。
などなど、ご先祖様が子孫に救いの手を差し伸べてくれることがあるのだ。
でもそんな有難い出来事は、その人の普段の行い次第であると私は思っている。
現世で苦労し頑張って生きている人に、ご先祖様が手助けしてくれるはずだ。
⇒何の苦労も徳積みもしてない者に天からの恵みは与えられない……。