「古志」福岡句会(7月)を終えて
各地で豪雨被害が相次いでいます。
一日も早い復旧と、これ以上、被害の拡大がないことを祈るばかりです。
7月8日(土)は「古志」福岡句会でした。
会場はアクロス福岡。暑い時期でも快適な会場です。
コロナ禍を経て、およそ3年半ぶりの出席になりました。
その間のみなさまの心境・環境の変化、
句会や連衆への熱い思いをうかがい、
あらたに第一歩を踏み出すような記念的句会となりました。
特選句から、いくつか。
生け捕りし鬼が我とは昼寝覚 大橋修
夢の内容を〈昼寝覚〉によって表現するのは、
お決まりのパターンではありますが、
「鬼を捕まえてみたら自分だった」というのは、
なかなか恐ろしいことで、
人間、誰しも闇を抱えていることをうまく刳り出しています。
かたつむり天に順なる歩みかな 加藤久子
〈かたつむり〉の歩みは人間の歩みに比べれば、
じつにゆっくりとしたもので、のろまに感じてしまいます。
それを加藤さんは〈天に順なる〉と捉えています。
〈かたつむり〉のゆったりとした歩みは、
余計な「はからい」を捨て、
天という大いなるものにすべてを委ねた歩みだというのです。
孟子は「天に順う者は存し、天に逆らう者は亡ぶ」と、
天に順なることの大事さを説きましたが、
こうした東洋的思想がこの句の源泉となっていることは間違いないでしょう。
作者の人生観がしっかりと投影されている一句です。
扇風機湯上がりの子を前に据ゑ 北村美智子
〈前に据え〉とあえて即物的に表現したところが良いですね。
うしろから乾かしてあげている様子も、
生きいきと目に浮かんできます。
いつものように九州近隣県からもご参加いただきました。
また、北海道からはるばる髙橋真樹子さんも参加されました。
おかげさまで充実の句会となりました。
心より御礼申し上げます。
「古志」福岡句会、わたしにとって地元ですので、
いつもなつかしい思いで参加させていただいています。
「古志」福岡句会の益々のご発展をお祈り申し上げます。
どうぞよき一日をお過ごしください。