KAWASAKI ZZ−R250 1990
KAWASAKI ZZ−R250 1990
GPZ250 R(1985y) →GPX250 R(198 7y) と継承された2シリンダーがGPX250 RII(1989y) で完成されたパワーユニットとなった。インラインフォアが当然のようにスーパースポーツ性を象徴している時に、敢えて生産に踏み切ったのには、それなりの勝算を見越していたからと思う。カワサキは第1次インラインフォア全盛の'70年代初頭、Z1 (900 RS/1972y)/Z2 (750 RS/1 973y) に沸いた市場に、400 RS(1974y) /Z750 Twin(1976y)をデビューさせていた。インラインフォアのスポーツ性を認めながらも、 2シリンダーなりのワイドレンジの操縦性にも愛着を感じていたのだ。自在性のある出力特性は、ビギナーばかりでなくベテランの域に達したライダーにも楽しめるものだったからだ。また、Z250FT(1979y) をヒットさせた自信も根底にあったからかも知れない。ともあれ、近年の海外における250ccのスポーツモデルは、むしろシティーコミューターとしての利用を主流として、過激なレーサーレプリカには一部のユーザーのマニアックな優越感を満たすだけのものとの判断もあった。GPX−RIIが、ややレプリカを意識の範疇に置いていたこともあり、ZZ−Rには全く異なるニューコンセプトが必要だった。当初は、43ps/13,000rpmからスタートしながらRIIでは45ps/13,000rpmと向上したスペックを再度、低・中速域に改善を図り、40ps/10,000rpmと明らかなセッティング変更を行っている。キャスター&トレールを27°/8 3mm →26.5°/88mmとし、フロントタイヤも 100/80-16 →100/80-17に変更。軽快性をアピールしながらも、安定感のあるハンドリングを設定している。ホイルベースも1,400 → 1,405mm 、これはトレール量の増加に比例した設定だ。ポジションそのものもGPXからは、かけ離れたものでもない。スタイルを一新させながらライディングフィールに違和感を与えないあたりはさすがである。量感そのものを逞しく仕上げながら、重量はプラス6kgの増量。フレームを「日の字断面」の90× 30mmアルミ押出材を採用した2分割のダイヤモンドフレームに転換している。RIIでデュアルに配置したフロントディスクは、再度大径φ300mmシングルに改められ、異径ツインボアのピンスライドフローティングタイプのキャリパーでコントロール性を高めての採用となった。タウンユースにも、ツーリングユースにも全く異存のないパワーフィーリングと、疲れを知らない絶妙のポジションは、このモデルの特徴となった。現行車と差のない動力性能と装備で中古車市場でも支持率の高いモデル。