タイBLドラマ「Never Let Me Go」(2022年)GMMTV 超おすすめ キャストとあらすじ
おすすめ度:★★★★★ 孤独な御曹司と心優しいボディガードの格差BLを描いた作品
GMMTVのタイBLドラマ「Never Let Me Go」(2022年)を観ました!タイ最大の高級ホテルグループの御曹司ヌアンと、ボディガードの命を受けた同級生パームの格差BLストーリー。大人社会のキャピタリズムに翻弄される青年たちの苦悩と葛藤を切なく描いた少しハードボイルドな作品。とてもおすすめ!
プーウィン&ポンドふたたび
このドラマの見どころはなんといってもプーウィン&ポンドの夢の再共演!歯学部生の恋を描いた超胸キュンBLドラマ「Fish Upon the sky / 雲の上の魚」(2021年)で大人気を博したふたりが高校生役で帰ってきた!
まさにニヤニヤが止まらないおすすめのBLドラマ。まだ観ていない方はぜひこちらをチェック!
明るく楽しい青春ラブコメだった前作に比べて、今作はよりシリアスで社会派。さまざまな「格差」をあちこちに散りばめたストーリー設定も巧妙で、BLの展開によりドラマ性と深みを加えています。どう考えても「待ってました!」としかいいようがない作品。ちなみに「Our Skyy2」にスピンオフも!
タイBLドラマ「Never Let Me Go」(2022年)はGMMTVの公式YouTubeチャンネルで無料で見ることができます!今のところ日本語字幕はなく、英語字幕です。
高級ホテルグループの御曹司ヌアン
バンコクの私立高校に通うヌアンは、タイ随一の高級ホテルグループの御曹司。ホテルビジネスに成功した父と優しい母の愛情に包まれて育ったヌアンだったが、グループに恨みを持つ何者かによる父の銃殺事件をきっかけに人生が一変してしまう。
命までも狙われる恐怖と周囲への猜疑心を抱えながら、ヌアンは次第に孤独に陥っていく。学校では父親が悪名高い成金経営者だったと揶揄され、いじめられる日々。優しく近づいてくる人は、裏で何か意図を持っている。信用できる人は誰もいない、そんな学校生活を送っていた。
ピアノを愛する繊細なヌアン役を演じているのは、プーウィン・タンサクユーン(Phuwin Tangsakyuen)。「Fish upon the sky」のほかには、「The Warp Effect」(2022年)、「Cause You're My Boy / コーズ・ユー・アー・マイ・ボーイ」(2018年)などに出演しています。
ドライバーの息子パーム
ヌアンの父親の死後、ホテルグループCEOを受け継いだ母タニャが唯一信頼しているドライバーには、ヌアンと同い年の息子パームがいた。チョンブリー出身のパームは猟師町で魚を獲る仕事をしていたが、タニャの依頼でヌアンと日々行動をともにし、すぐ側で身の危険からヌアンを守ることになった。
グループ使用人の息子でありながら、パーム自身もまたヌアンの使用人。同時に、同じ学校に通うクラスメイトでもある。そんなひとり二役を器用にこなさなければならない難しい命を負った。とてもまじめで心優しいパームは、すぐにヌアンの「忠実なボディガード」兼「友達」になる。
高校生なのにとっても大人っぽいパーム役を演じているのは、ポンド・ナラウィット・ルートラコム(Pond Naravit Lertratkosum)。前髪のウェーブ加減が常に完璧。
マフィアの息子チョッパー
ヌアンとパームの同級生チョッパーは、ヌアンの従兄弟。ヌアンの父亡き後、ホテルグループの後継をしたたかに狙うヌアンの叔父キットを父に持つ。学校ではヌアンのいい友達ではいるものの、父キットが何を企み、何をしているかを知っている。果たして信頼できる人物なのか…。
チョッパー役を演じているのは、パース・タナポン・スクムパンタナーサーン(Perth Tanapon Sukumpantanasan)。「The Stranded / ロスト・イン・ウォーター 神秘の島」(2021年)、「ラブ・バイ・チャンス / Love By Chance」(2018年)などに出演しています。
学級委員のベン
なにかとヌアンのことを気づかってくれる学級委員のベン。悪い奴ではなさそうな反面、無邪気にみえてヌアンに下心があるのかないのか、いまひとつわからない…。
ベンはヌアンに片想いしている。チョッパーに気持ちを伝えるべきだと言われ、音楽室でピアノを弾くヌアンにそっと告白。果たしてこれはホンモノのBLなのか、何か下心があってのことなのか…。そしてこのベンとヌアンのキスシーンが、パームとヌアンの関係にヒビを入れる。
好青年ベン役を演じているのは、チモン・ワチラウィット・ルーアンウィワット(Chimon Wachirawit Ruangwiwat)。「My Dear Looser: Edge of 17」(2017年)、「Our Skyy EP2「君と一緒の景色」イン&サン編」(2018年)、「Happy Birthday / ハッピーバースデー」(2018年)などなど多数のドラマに出演しています。
新しいバスケットシューズ
ヌアンと「友達」になることを約束し、屋敷へとやってきたパーム。しかし、その心中はとても複雑。私立学校に転校したはいいけれど、中国語の授業は難しいし、ヌアンをかばって停学になるし、ご主人様のヌアンは「ツンデレ」だし…。ヌアンとベンが親しくしているのも、見るのがツラい…。
そんなある日、ヌアンに同行したダンスパーティーでは、酔ったヌアンに絡まれ、別の知らない男にも殴られ、大怪我を負うハメに。右手を骨折したというのに、ドライバーの父親はヌアンのことしか心配しない…。パームの父親は人生をやり直すチャンスをくれたヌアンの父親に一生かけても返せない恩があり、それを息子にも背負うようにと諭す。
貧しい父子家庭に育ったパームは、バスケが大好き。でも新しいシューズを買う余裕がなく、いつか働いてお金を貯めて買おうと思っていた。そんな矢先、気を使った御曹司ヌアンが新しいシューズをサクッとプレゼント。当然、パームは簡単に受け取れるわけもなかった。
主従関係に経済格差ーー。ヌアンとパームは、生まれた時から同じスタートラインには立っていなかった。
ベンの裏切り
学校でのヌアンに対する執拗ないじめが続くなか、ある日ヌアンとベンのキス写真が学校中にばら撒かれてしまう。激怒したベンの父親がBLを否定し、ベンは父親と先生の前でヌアンがしかけてきたことだとウソをついた。
これに傷ついたヌアン。別にベンのことが本気で好きだったわけではないけれど、それでも多少心を開いていたのは事実。人に思われるのはいいことだとも感じていた。それがいとも簡単に裏切られてしまった。
結局誰もがそんなもんかと失望し、ベンとのキスの後味に嫌悪感を覚えるヌアン。そんな時、パームは「自分がヌアンの最初のキスになる」とそっと肩を寄せる…。
これはヤバい!展開が速いです!まだ第5話なのに…!かつてこんなに早い段階で、テンポよくここまできたドラマはあっただろうかと思うほど速いんです。でもこのシーンのポンドはよかった。非常に大人で。でも、忘れてはいけないのが、まだ「好き」とは言ってないんです!
タニャ襲撃事件
ヌアンを襲う悲劇は止まらない。何者かに命を狙われた父に続き、ホテル経営を引き継いだ母タニャまでもがまた何者かに襲われ、銃弾に倒れてしまった…。事件の背後には、グループの後継を狙うキットの影が見え隠れする。
ドライバーの父に指示に従い、ヌアンを連れてとにかく安全な場所へと車を走らせるパーム。母の身を案じ、泣きながら車を戻すように頼むヌアンの言葉も聞かず、パームはヌアンの命を守るため、実の母のいる場所へと深夜バスで向かう。
そして、ストーリーは後半戦に。ドラマの舞台は、海の向こうの静かな町へ…。
海辺のゲストハウス
パームの母親が住むタイ南部の島へたどり着いたふたりは、母親の経営するゲストハウスを手伝いながら、しばらくそこに身を隠すことに。一緒にレストランで辛い地元料理を食べたり、誰もいないビーチで一緒に時間をすごしたり。ヌアンが御曹司であることを知らない場所で、ふたりは徐々に「友達」らしくなっていく。
バンコクが舞台の前半は、ムアン目線の「格差」を中心にストーリーが描かれていましたが、後半に入るとパーム目線の「格差」へと一気に視点がシフトしていきます。海辺の街を背景に、映像も雰囲気もまったく新しいものになり、流れる音楽もゆったりした洋楽に!このコントラストがエモい!
七夕の7月7日、彦星と織姫は
中国語のペアワークでパームが調べた「七夕」の故事。年に一度しか会えない彦星と織姫の悲恋は本当に悲しい話なのか。海辺で夕陽を眺めながらヌアンは言う。「一年に一度だけ会える誰かを楽しみに待つことができる」と。
少し視点を変えるだけで、悲恋はロマンティックな話にもなる。ヌアンに次々と襲いかかる悲劇ももしかしたら同じかもしれない。自分を利用しようとする人、自分を陥れようとする人、自分に怒りをぶつける人、そんな人に囲まれていては気づかなかったことに、ヌアンは気づき始めていた。
それにしても、この南の島が美しい!美しすぎる!海が見える岩場に、夕陽がきれいなビーチ、丘の上の寺院。御曹司ヌアンの住む世界にはない「豊かさ」がこの島にはたくさんある。そしてそれらには、お金では買えない価値がある。
そんな海辺の街で、ヌアンはパームに恋をする…。パームもヌアンと恋に落ちる…。
NEVER LET US GO
しかし、そんな幸せな日々もつかの間。グループを乗っ取ろうとしている叔父キットの追手がヌアンとパームが泊まるゲストハウスへ。2人の身を案じたパームの母親がとっさの嘘でその場を凌ぐも、追手はふたたびゲストハウスに戻ってきた。そして手には銃…。
2人を逃すため、バーカウンターから応戦したパームの母親は腹部を打たれ、そのまま倒れてしまった。パームは長く会っていなかった母と再開し、失われた時間を取り戻したばかりだった。
それでもパームの使命は何を犠牲にしてもムアンの命を守ること。すでに息をしていない母を置いて、パームはヌアンを乗せたバイクを走らせた…。
深夜、たどり着いた町外れのモーテルで夜を明かすことにしたパームとヌアン。しかし、この時ヌアンは決めていた。ここでパームと離れ、自分ひとりバンコクの実家に戻り、一連の騒動に決着をつけることを。
睡眠薬入りのビールでパームを眠らせ、手紙を残し、ひとり先を急ぐヌアン。バンコクではパームの父親がキットの策略でタニャ殺害容疑で警察に逮捕されていた。パームも共謀者として警察に行方を追われていた。
あんなに幸せだった浜辺の街からの展開が、あまりにも悲しくて、切ない…。パームもヌアンも今いる状況は自ら選んだものじゃないのに…。
愛する人々を守るため
ドラマはいよいよクライマックスへ。バンコクの実家に戻ったヌアンは、叔父キットに牛耳られているホテルへと足を運ぶ。病院では銃で撃たれた母タニャがまだ意識を取り戻せずにいた。眠り続ける母に話しかけるヌアン。一族が経営するホテルはどうなってしまうのか…。
南の島の小さなゲストハウスがあんなにも幸せに満ちていたのに対し、バンコクの高級ホテルは叔父キットその関係者、投資家たちの富と支配欲に満ちている。
そこでヌアンが思い出すのはパームのことばかり…。ヌアンは愛する人を守るため、権力と支配を巡って渦巻く陰謀に立ち向かっていく…。
叔父キットとの対決
キットの追手から身を隠しながらも、なんとかヌアンの後を追いかけバンコクへと戻ったパーム。やっとの思いでヌアンとの再開を果たすも、キットの追手からなかなか逃れられない。それどころか、父親ノンの命と交換条件に、ヌアンか母親タニャのどちらかを「消す」ように迫られる。
ヌアンの母親タニャが眠る病室へと足を運んだパーム。でも、どんな条件を飲んだところで結局最後は悪党キットにはめられ、最後は自分に罪が被せられることを悟る。そして、それより何より、ヌアンとタニャは守らなければならない人たちだと。
叔父キットの狂った暴走は止まらない。ホテルビジネスからカジノを取り除いたヌアンに心底腹を立てたキットは、ヌアンを誘拐し、パームを人質にとり、ホテルグループ全財産を放棄する契約書にサインするよう迫る。
容赦なく銃で撃たれるパームをかばい、契約書にサインしたヌアン。しかし、キットの狙いはふたりともまとめて消してしまうことだった…。
絶体絶命のピンチ…しかしここで割って入ったのはなんとキットの息子チョッパーだった。そして、事態を知り、現場に警察を呼んだのはあのベンだった。キットの逮捕で、ホテルグループの乗っ取りをめぐる一連の事件はようやく解決へと向かう。
「唯一」The One and Only
長い長い悲劇の連鎖がやっと終わった…。にもかかわらず、パームは自分はこれ以上ヌアンと一緒にいてはいけないと感じていた。そして、ある日、置き手紙を残してヌアンの前を去ってしまう。
お互い大事に思うがゆえに、自分から離れていく2人…。
それでもヌアンのことを忘れることなんてできなかった。貴重な時間を一緒に過ごしたあの島の、母親の残したゲストハウスで、パームはひとり思い出とともに生きていた。
リニューアルオープンした思い出のバーにはヌアンの名前をつけた。
そんなある日、思い出のビーチで忙しく働くパームの前に現れたのはヌアンだった。
たとえ離れ離れになったとしても怖がらなくていい
そこで待っていて、きっと君を見つけ出すから
明日何があろうとも、忘れないでいて
僕は君のためだけに生きると
プーウィンが歌うOST「Living for you」
最後の最後でプーウィンが歌うOST「Living for you」がとってもいい感じに響いてきます。ヌアンが誕生に父からもらった「唯一」の文字のネックレスが、ドラマ全体を通してとても重要かついろんなメッセージを持っていて、最後の最後まで一貫していたのもとてもいい!
このドラマ、久々に見た「完璧」なBLシリーズかもしれません。プーウィン&ポンドの存在感も出てたし、ヌアンとパームの「格差」もリアリティがあってシナリオに深みを加えていたし、サブカプとしてのベンとチョッパーの伏線もしつこすぎず、かつドラマ展開では重要な役割も担っていました。全体的にとてもバランスがよかったし、チモンとパースの演技もベテランの域。
なんといっても無駄なエピソードが一切ない!正直、タイBLドラマはステマ広告のための中だるみエピソード(あってもなくてもシナリオに影響がないような内容)が結構あるので、退屈すぎて途中ついていくのが大変だったりしますが、このドラマにはそれを感じるエピソードがありませんでした。
ポンドが歌うOST「Ony One」
ドラマ中盤くらいからポンドが歌うOST「Only One」が、今度は「Living for you」へのアンサーソングみたいな感じで使われているのもポイント。ドラマの軸が非常にシンプルでわかりやすいのがいいですね。ただ…ポンドは歌より演技のほうが向いているのかな…?悪くはないんですけどね!
ドラマを通して、涙がでるような「悲しさ」ではなく、心に重くのしかかるどうしようもない「切なさ」みたいなのが全面に出ていたのも、御曹司に生まれた運命、使用人の息子に生まれた宿命を反映しているようでなんだかよかったです。
どれだけ自由に生きれる社会だといっても、やはり生まれた時から歩む道は決められていたりすんですよね、やはり。それが「格差」であり、乗り越えていくのは至難の業。でも、ヌアンとパームは命をかけてやってみせた。なぜなら2人は「唯一」の存在だから…。
というわけで、タイドラマ「Never Let Me Go」は非常におすすめのBLシリーズです!文句なしのおすすめ5つ星!
あわせて観たい作品
「Never Let Me Go」には「Our Skyy2」でのスピンオフのエピソードがあります!2話完結で、ヌアンとパームが前世にタイムスリップ。そこではふたりの立場が逆転した格差BLがあった!