臭木(くさぎ)
散歩道沿いに昨年までは在った臭木(くさぎ)が無い。
葉や枝から出る悪臭に、近くを通るだけで気付く臭木だが、土地の所有者にとっては厄介者で、雑草刈り時に切り捨てられるのだ。
が、白い5弁の咲くと山百合のようなジャスミンのような香りのバリアになるので、散歩の楽しみにしていたのだが、土地の所有者にとっては雑木なのだろう・・・
白い花が閉じると赤紫色のガク(顎)になり、真ん中に白い果実が出来、果実を草木染めにすると鮮やかな「そらいろ(空色)」に染まり、赤いガクは「灰色」に染まると言う。
僕にとっては、子供の頃は河原に遊びに行く途中、普通に野山に在ったヤマユリが、近年全く無くなってしまった代わりの、「におい」を嗅ぐことが出来たのに・・・
ところで、「植物にとって、香りは生き延びるための重要な武器」だと、山口大学農学部生物機能科学科の松井教授は言う。
「花が受粉する際に大切なのは、出来るだけ遠くの花と受粉することです。 近い花は遺伝的に似ているので、環境変化や病気が起きると全てが死滅する可能性が在ります。
そこで花は良い香りで虫を呼び寄せ、蜜を与えることで花粉を付着させ、遠くまで運んで貰います。 一方、完熟して良い香りのする果実は虫や動物の食料となります。 種と一緒に食べて貰うことで、別の場所で種を排泄して貰い発芽させ、自分のテリトリーを拡大します」
この様に、花や実の香りは植物にとって重要だが、「葉」にも匂いが在る。
虫や病原菌がやって来ると嫌なにおいを出し、自己防衛をすると言うのだ。
植物が「害虫などが来た」ことに気づくのは、虫が葉を傷つけたり虫の唾液を感知したりするためらしい。
そしてその情報は何らかの方法で別の葉に伝えるのだそうだ。
自然は解らないコトが多いが、「不思議なこと」に悩んでいては始まらない