金持ち頸損と貧乏頸損
2023.07.17 06:20
3月に知り合いの頸髄損傷患者Aさんの3回忌の集いがあった。
7歳年上で自発呼吸はあったが同じ程度の寝たきりで、
同じ市内在住ということもあって何かとお世話になった。
高校の授業で組体操の練習中に事故があったらしい。
そのAさんが”金持ち頸損と貧乏頸損”という言葉を
口癖のように言っていたのを憶えている。
私も貧乏頸損に該当するのだという。
その時はよくわからなかった。
その後ズームで座談会があった時、
その場で以前から感じていた一つの疑問をぶつけてみた。
一人暮らししている方が数名いたので
「皆さん、障害年金だけで生活できてますか?」
そう聞くと皆さんから労災保険があるから、
との答えが返ってきた。
ああ、なるほどAさんが言っていたのは
保険の有無のことか、とこの時に気づいた。
Aさんも私も高校の時に校内での事故だった。
社会人なら各種保険に入っていることも多く、
特に勤務中の事故は労災保険が下りることも多い。
このような障害年金以外の収入源があるのとないのとでは
同じ脊損、頸損患者であったとしても経済事情は
まるで違ったものになってくる。
Aさんは10年ほど一人暮らしをされていたが
障害年金だけでは当然足りない。
自宅で生活している間、貯めていた
障害年金を切り崩しながら赤字分を補填していたそうだ。
私も親と同居で生活費を持ってもらっているから
なんとか生活できているわけで。
そうでなければとっくに人工呼吸器を外していただろう。
私を含めた多くの障碍者がそうであるように
Aさんも何かしらの稼ぎはないかと試行錯誤していたが
誰もが上手くいったという解決策は聞いていない。
このような問題はどう解決すればよいのやら、
見当もつかないままにここまで来てしまったというが実状だ。