世界大戦へ2-Cルーズベルトの反トラスト
2023.07.20 11:29
1901年8月31日、またもやアメリカ大統領マッキンリーが暗殺された。実行者はレオン・チョルゴッシュというポーランド系移民である。彼は1900年のイタリア国王暗殺事件に影響を受けて実行した。無政府主義者であり、アメリカの富の不平等に不満をもっていたことが背景にある。
そして新大統領に昇格したのが、副大統領だったキューバ侵攻の英雄セオドア・ルーズベルトである。42歳と10カ月はそれまでの史上最年少の若さである。彼は就任するや12月3日に議会に年次教書を送って自分の施政方針を明らかにした。その中で暗殺を非難しつつ、富の不平等や社会問題を認めるのである。
ルーズベルトは、アメリカの富の発展を称賛する一方で、トラストと呼ばれる巨大企業群が、一般の福祉を害する特徴なり傾向がある、と教書に書く。そしてこれらを規制監督せねばならないというのだ。そして彼は今まで使われたことのない「シャーマン反トラスト法」を使ってトラストを分割する。
またこの教書では政府と契約する事業所では、女性と児童労働の規制を行う、とした。ルーズベルトは健全な労働組合の結成を推進し、労働者の生活を改善する社会改良主義の立場から「革命を避けるための改革」を推進した。自由主義のアメリカに政府の規制が入ったのである。