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元美浦トラックマンの競馬血統ブログ

【血統考察】関西馬No.43~60 シルクホースクラブ 2023年度募集

2023.07.22 09:54

本ブログを多くの方に読んでいただいているようで、嬉しい言葉もかけていただきありがとうございます。今年は種牡馬・厩舎の見解をお伝えすることを意識して書いてみました。その結果、25,000文字を超える卒論並みのボリュームになりました。これを広告なしで無料提供するのは血統派の普及のためです。
血統に少しでも興味をもっていただき、馬選びの参考になれば幸いです。
ついでに血統アドバイザーのお仕事もお待ちしております。


43. インヘリットデールの22

募集価格 6000万円 牡 高野厩舎 ノーザンF生産 4/22生まれ
体高151.0cm 胸囲171.5cm 管囲20.7cm 体重423kg(6月下旬時点)
父エピファネイア 母父ルーラーシップ

昨年の当クラブ募集で考察済。
祖母フサイチエアデールはマイラー的なパワーを強く伝え、父中距離×母中距離×祖母パワーマイラーという現代のトレンド配合。2歳戦から早期に活躍する傾向が強く、種牡馬エピファネイアといかにも相性が良さそう。また、父エピファネイア×母父ルーラーシップも、全3頭が2歳新馬戦を勝利しており、活躍馬は出ていないが配合的には良い。

高野厩舎はノーザンF関連クラブ馬で結果を残しているが、近年はほとんどが牝馬。牡馬の重賞勝ちは芝1200~1600mと栗東坂路主体の調教パターンがいかにも出ている印象だ。エピファネイア産駒牡馬とは合わないイメージを持つが…。
厩舎は問題ないと思える方であれば、十分大物狙いできる1頭。


44. サラキアの22

募集価格 7000万円 牝 池添学厩舎 ノーザンF生産 2/22生まれ
体高149.0cm 胸囲170.0cm 管囲19.0cm 体重391kg(6月下旬時点)
父エピファネイア 母父ディープインパクト

父エピファネイア×母父ディープインパクトは緩慢さが強く出るため、締める血が大いに必要になるのだが、祖母サロミナが独オークス馬で締める血もない。父中距離×母父中距離×祖母中距離の形になり、緩慢さが大きな課題になりそう。

Danehill+Nijinsky+Ribotの血でどれだけパワーを伝えられるか。母父ディープインパクトの初仔らしく小柄でパワー不足な可能性大。
これだけ不安がある中で募集価格が高額だと期待値的に相当厳しい。


45. オンディナドバイの22

募集価格 5000万円 牡 須貝厩舎 ノーザンF生産 3/4生まれ
体高149.0cm 胸囲165.0cm 管囲20.0cm 体重396kg(6月下旬時点)
父ロードカナロア 母父E Dubai

Cozzeneの血を持つロードカナロア産駒は8/14頭勝ち上がり、1頭当賞金約3500万。トロワゼトワル、サトノウィザードなどが活躍している。ただ、本馬はロードカナロア産駒に重要な締める血がなく、母父が米国血統・ナスキロフリートのクロスが多い血統構成。緩さが出そうな印象で大物感に課題が残る。

須貝厩舎は2歳戦に強くスピード調教を課す厩舎だけにロードカナロア産駒と合うはず。現状でもブランノワール、カヌメラビーチが活躍している。母がアルゼンチンの2歳GⅠ勝ち馬なら、仕上り早とスピード能力に任せて早期活躍に期待するしかないだろう。血統派としては推せない。


46. タイタンクイーンの22

募集価格 6000万円 牝 松永幹厩舎 ノーザンF生産 2/6生まれ
体高157.0cm 胸囲175.0cm 管囲19.5cm 体重422kg(6月下旬時点)
父ロードカナロア 母父Tiznow

母はどんな種牡馬でも産駒が堅実に走る優秀な繁殖牝馬。祖母がBuckpasser 3×3持ちと短距離的なパワーとTom Foolの機動力が持ち味。本馬はIn Reality 5×5と北米パワーも増幅した牝馬なので短距離馬に出るだろう。Seeking the Goldの血を持つロードカナロア産駒は、17/23頭勝ち上がり、1頭当賞金約2900万円。ノーザンF生産馬に限ると全6頭勝ち上がりという点も良い。

母タイタンクイーンの仔と合う血統が難しいものの、ロードカナロア産駒の好配合馬とまでは言えず、堅実に走る保険付きでも期待値的には割高感が否めない。繫殖牝馬のポテンシャルでどこまで。


47. キューティゴールドの22

募集価格 5000万円 牝 高野厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/7生まれ
体高155.0cm 胸囲177.0cm 管囲19.3cm 体重425kg(6月下旬時点)
父ロードカナロア 母父フレンチデピュティ

フレンチデピュティの血はロードカナロア産駒と相性が良く、社台系生産馬だと26/45頭勝ち上がり、1頭当賞金約3000万円弱になる。その中で、父ロードカナロア×母父フレンチデピュティでは6/11頭勝ち上がり、1頭当賞金約4500万円と優秀な成績。レッドルゼル、アンヴァル、リリーバレロなどが活躍している。配合的には近親のウォーターハウス、パンドレアより明らかに良い。

父キングカメハメハ系×ダイナサッシュ牝系はカラテ、ケイデンスコール、インダストリアなどが活躍しているが、牝馬では大物は出ていない。また、母がVice Regent≒ノーザンテースト3×3とNorthern Dancerの血が濃い配合で、本馬は父母相似配合になることからも母の競走能力に課題が残る。ショウナンパンドラ以外は産駒の結果が出ておらず、繁殖牝馬のポテンシャルも不安だ。


48. エスメラルディーナの22

募集価格 5000万円 牡 池添学厩舎 ノーザンF生産 2/10生まれ
体高155.0cm 胸囲171.0cm 管囲21.5cm 体重447kg(6月下旬時点)
父オルフェーヴル 母父Harlan’s Holiday

母エスメラルディーナの産駒は全2頭勝ち上がり、祖母ターシャズスターの系統を含めるとアリーヴォ、コンシリエーレが活躍。ドゥラメンテ・ドレフォンと方向性の違う種牡馬で結果を出しており、牡馬だと堅実に走る牝系だ。

Unblidled’s Songの血を持つオルフェーヴル産駒は3/7頭勝ち上がり、ビターエンダー、リヴェールが活躍しており、Unblidled’s Song の全弟Spanish Stepsでも同様の活躍が見込めるだろう。
3/4 Northern Dancerの形、スピード血統、ナスペリオン血脈持ちとオルフェーヴル産駒と相性の良い配合が魅力的ではあるが、Donatello+Hyperionの血やSpecialの血がない点で何か物足りなさを感じてしまう。
赤字の可能性はありつつも、芝・ダート問わず堅実に走ってきそうな1頭。


49. イルーシヴグレイスの22

募集価格 2800万円 牝 大久保龍厩舎 吉田俊介生産 3/5生まれ
体高151.0cm 胸囲171.0cm 管囲19.0cm 体重373kg(6月下旬時点)
父モーリス 母父ディープインパクト

Sadler's Wells≒Touch of Greatnessの血を持つモーリス産駒は1頭だけでまだ結果は出ていないが、Sadler's Wells×Touch of Greatnessの血を持つスクリーンヒーロー産駒には、ブルーシンフォニー、ウィリンと全2頭が上級条件まで出世しており相性は良さそうだ。

本馬の母はAlzao≒Touch of Greatness含めてナスキロの柔らかさが強調された配合で、小柄で非力な面があり、本馬もそれを受け継いだかのように小柄に出てしまったのは残念。大久保龍厩舎といかにも合わなそう。
モーリス産駒の牝馬は見送る方針で。


50. ピクシーホロウの22

募集価格 5000万円 牝 中内田厩舎 ノーザンF生産 3/9生まれ
体高153.0cm 胸囲169.0cm 管囲19.0cm 体重390kg(6月下旬時点)
父モーリス 母父キングヘイロー

Damascus+Francis S.の血を持つモーリス産駒は全兄ピクシーナイト、ジャックドール、ラーグルフが活躍しており、モーリス産駒一番注目の配合パターン。
モーリス産駒の牝馬は見送る方針かつG1馬の全弟妹は出資しないという宗教上の理由によりケン。


51. ローブティサージュの22

募集価格 1億円 牡 中内田厩舎 ノーザンF生産 1/27生まれ
体高155.0cm 胸囲171.0cm 管囲20.3cm 体重439kg(6月下旬時点)

父キズナ 母父ウォーエンブレム

父キズナ×母父ウォーエンブレムの配合は6/8頭勝ち上がり、アネゴハダ・リトルクレバー、イリマが活躍している。その中でも上級条件で活躍する馬は、Donatello+Hyperionの血を持っている点は見逃せない。本馬はDonatello+Hyperionの血を持っておらず、母がG1馬であっても大物感に課題が残る。

中内田厩舎×キズナ産駒は全3勝勝ち上がり、母が阪神JF勝ち馬なら厩舎お得意の2歳戦で活躍を期待したくなる。大物感に課題が残る以上は高額すぎて見送り。


52. ガルデルスリールの22

募集価格 3500万円 牡 池江寿厩舎 ノーザンF生産 2/25生まれ
体高156.0cm 胸囲175.0cm 管囲21.0cm 体重416kg(6月下旬時点)
父ハービンジャー 母父ダイワメジャー

祖母バシマーの牝系はノーザンF生産馬に限ると13/15頭勝ち上がり、1頭当賞金約2500万弱。本馬の兄姉全3頭勝ち上がりと堅実に走る牝系だ。半姉モリアーナがそれなりに結果を出し、今までは大物感に課題があった点は見直す必要がある。
Chief’s Crown の血はハービンジャー産駒と相性が良く、ノーザンF生産馬に限れば全3頭勝ち上がり、モーヴサファイア、リブーストが活躍している。モズカッチャンもこの血を持つ。母父ダイワメジャーが近年のトレンドでもあり、配合的にも良い。

池江厩舎×ハービンジャー産駒牡馬は5/6頭勝ち上がり。ペルシアンナイト、ベルーフ、プロフェットと重賞勝ち馬3頭と相性抜群。近年の池江厩舎の動向や調教パターンからそのまま受け止めることはできないが、育成ノウハウを持ち合わせている点は大きい。

堅実に走る保険付き+大物になる要素もあると。考察していたら評価が上がってきた馬。大物感にはまだ課題を残しつつも、モリアーナくらい走る可能性があるなら出資検討しても良さそうだ。


53. サロミナの22

募集価格 7000万円 牝 池添学厩舎 ノーザンF生産 1/27生まれ
体高155.0cm 胸囲178.0cm 管囲19.8cm 体重451kg(6月下旬時点)
父ドゥラメンテ 母父Lomitas

Danehill後躯パワー増幅配合の母サロミナ。トニービンの緩さを解消させることで有名でハーツクライ産駒で結果を残してきた。ドゥラメンテ産駒も同様の効果が見込める可能性があり、Danehill+Niniskiの血を持つドゥラメンテ産駒は全2頭(ブレイヴロッカー、エバーハピネス)が勝ち上がっている。それ以外ではドゥラメンテ産駒と相性の良い血はないが、逆にマイナスになる血もなく、上記の良さをダイレクトに伝えてくれそう。

高額な募集価格を担保できる保証はできなくても、母サロミナの高いポテンシャルならそれなりに走ってくれそうだし夢を見るだけの魅力はある。赤字覚悟で大物狙いなら。


54. ステップオブダンスの22

募集価格3000万円 牡 高野厩舎 ノーザンF生産 2/12生まれ
体高154.0cm 胸囲176.0cm 管囲20.5cm 体重438kg(6月下旬時点)
父ドレフォン 母父ゴールドアリュール

祖母ルカダンスは父母相似配合で父が遺伝力の強いヘクタープロテクターでもあり、繁殖牝馬として優秀。この牝系の牡馬に限れば5/8頭勝ち上がり、1頭当賞金約4000万円、ハイランドピーク、アイアンルックと重賞勝ち馬も輩出している。ドレフォンは母の良さを引き出す種牡馬なだけに、この牝系の競走能力をしっかり伝えそうだ。
また、父ドレフォン×母父ゴールドアリュールは5/6頭勝ち上がり。まだ活躍馬はいないものの、ほとんどがダート牝馬であることから今後活躍馬が出てもおかしくない。

高野厩舎×ドレフォン産駒は2歳馬を除くとエルバリオ、カラフルキューブの全2頭結果を残している。血統・生産・厩舎・ノーザンFの意向でマイナスな点がなく、母ステップオブダンスも牝系同様に繫殖牝馬としてのポテンシャルが高ければ面白そうだ。


55. ディライトプロミスの22

募集価格 2500万円 牝 茶木厩舎 ノーザンF生産 1/28生まれ
体高153.0cm 胸囲176.0cm 管囲21.0cm 体重456kg(6月下旬時点)
父ドレフォン 母父Lemon Drop Kid

祖母テディーズプロミスはラブレアS(米G1・D7f)勝ち。Deputy Minister 5×4、Alydar 4×5と米国的なパワーを増幅した配合。母同様に高速ダートが向きそうな印象。
特段配合的に強調できる材料はなく、ノーザンFの意向も微妙。手が出ない。


56. シャクンタラーの22

募集価格 2800万円 牝 松下厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/5生まれ
体高149.5cm 胸囲176.5cm 管囲19.5cm 体重420kg(6月下旬時点)
父ドレフォン 母父ゼンノロブロイ

昨年度の当クラブ募集で考察済。
父ドレフォン×母父ゼンノロブロイは7/13頭勝ち上がり。その中でドレフォン産駒のニックス配合であるUnbridledの血を持たない活躍馬はヴィブラフォンしかおらず相性が良いとは言えない。勝ち上がる可能性は出てきたものの、特段配合的に強調材料がない。
走ったらごめんなさい。


57. ルナステラの22

募集価格 3000万円 牝 武幸厩舎 ノーザンF生産 2/8生まれ
体高151.0cm 胸囲173.0cm 管囲19.1cm 体重392kg(6月下旬時点)
父ルーラーシップ 母父ディープインパクト

Unbridled’s Songの血を持つルーラーシップ産駒はまだ結果が出ていないが、父キングカメハメハ系では総じて走っている。また、Seattle Slew、Rivermanの血はルーラーシップ産駒と相性が良いし、父ルーラーシップ×母父ディープインパクトも近年好走している配合。

パッと見で良さそうな印象を持つのだが、問題は牝馬であること。父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの活躍馬はほとんど牡馬。しかも牝系にパワーの血が必要な中、本馬の母が全体的に緩い血が多い。祖母ピラミマの産駒が牡馬しか大物が出ない点も気掛かりだ。母父ディープインパクトの初仔で小柄な牝馬では厳しい。


58. ハウナニの22

募集価格 3500万円 牡 清水久厩舎 ノーザンF生産 4/28生まれ
体高148.5cm 胸囲167.0cm 管囲20.8cm 体重395kg(6月下旬時点)
父ナダル 母父ロードカナロア

Liable≒Kingmambo 3×4によるNashua≒Nantallahの捲りパワー増幅、PatelinによるEight Thirty≒War Relic≒Good Exampleの北米パワーを増幅した血統構成。ダートで活躍してもおかしくない配合だ。

白毛のシラユキヒメ牝系というシルクHCのイチオシ馬なだけに、ノーザンF天栄御用達の関東所属厩舎かと思いきや、意外すぎる清水久厩舎。もちろん清水久厩舎自体は毎年好成績を収めており、ノーザンF関連クラブでも結果を残している優秀な厩舎ではある。しかし、ノーザンF生産馬では芝しか走っていないし、そもそも米国血統のダート馬というのも前例もない。
ノーザンFの意向としても最上位ではないだけに預ける理由・経緯が正直分からない。危機回避的な意味で見送り。


59. メリーウィドウの22

募集価格 2400万円 牝 西村厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/5生まれ
体高160.5cm 胸囲190.0cm 管囲21.1cm 体重514kg(6月下旬時点)
父ナダル 母父ゴールドアリュール

半姉2頭が活躍している要因はStorm Catニアリークロスという見解を持っているおり、本馬はその血がない点で評価できない。繁殖牝馬のポテンシャルの高さだとすれば勝ち上がる可能性はあるが、それはそれで大物感という点で課題がある。
特段配合的に強調材料がなく、個人の見解としては推しづらい。敬遠。


60. ジュベルアリの22

募集価格 2400万円 牝 斉藤崇厩舎 レイクヴィラF生産 4/9生まれ
体高148.5cm 胸囲167.5cm 管囲19.0cm 体重382kg(6月下旬時点)
父ナダル 母父ディープインパクト

Pulpit 3×4、His Majesty 5×5とパワーを増幅した血統構成。この配合だとダートに出てしまう可能性があり、ダートでは母父ディープインパクトが良くない。芝・ダートどっちつかずな印象を持つ。また、祖母ドバイマジェスティの系統はなぜか牝馬は小柄に出る。本馬も類に漏れず、大物感もない。手が出ない。


つづく