【富高地域 模型店(プラモデル)事情(昭和~平成)】
玩具店(オモチャ屋さん)の中でも、特にプラモデルをメインに取り扱っていたお店についてみていきます。
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戦後の昭和32年に、国産初のプラモデル(マル サンのノーチラス号)が発売されたといいます。その頃のプラモデルの多くは、「玩具店」の一角または「商店内の玩具コーナー」の片隅で販売されていたのだろうと思われます。
富高地域においては、昭和30年代に駅前の「堅 地(カタ チ)玩具店」で販売されていたとのことです。富高小の周辺に幾つかあった駄菓子屋にも、小さな廉価版キット(ミニプラモデル)が置いてあったかもしれませんが(※駄菓子屋については、いずれ別項で触れる予定です)、いずれにしても本格的な商品を取り扱っていたこの堅 地 玩具さんが、おそらく当地域での模型販売の始祖ではないかと思われます。なお、現在の主流であるキャラクター物(例:ヤマ ト、ガン ダム等)の登場はもう少し先の話で、昭和40年代初頭の「サン ダーバー ド」や「ウ ルト ラマン」などがその嚆矢(こうし)といわれているため、堅地さんが営業していた昭和30年代のラインナップはおそらく戦艦や航空機、自動車やお城といった実在するモノのスケールモデル(縮尺模型)がメインであったと考えられます。
おおよそ昭和40年前後から「に し き 堂」さんが総合的な玩具販売業を始められ(※前出の堅 地 玩具店さんから事業承継)、多くの需要に応えていた時代を経て、昭和40年代後半(1970年代の前半)にいよいよ模型の専門店が登場します。
昭和47年頃、中町に「日 向模 型センター」、原町に「サ イ ガ模型」がオープンしました。
「サ イ ガ模型」は昭和48年の地図から登場します。「日 向模 型センター」はそもそも地図に載っていませんが(店舗が中川某氏の借家であり、地図上では空白で表示されているためです)、昭和48年の市内風景写真に写りこんでおり、その年から存在が確認できます。どちらが早いのか、いずれ有識者に確認をとる必要があるでしょう。
「サ イ ガ模型」はオレンジ色の3階建てビルで、そのうち1階と2階部分が販売フロアでした。ガラス越しにうつる零戦などの大型モデルの展示品が目を引くオシャレな外観でした。店内の商品在庫も豊富で、2階には大掛かりな模型展示もあり充実した内容で、プ ラモ販売のみならずモデ ラーの交流の場としても長きに渡り存在感を示しました。90年代前半頃は、夕方5時台のアニメ枠のスポンサー企業の一つとなり、TVCMも流れていました。そのような宣伝効果もあり、遠方から訪れるファンも多かったと思われます。
いっぽう「日 向模 型センター」は、前述のように借家で古い木造建築に看板を掲げたもので、また営業期間も3~4年程度と短かったといいます。店主は北九州方面から来た方で、本業である電器工事屋さんのかたわら、この模型店もやっていたそうです。(細かな営業実態は不明ですが昭和53年頃まで看板が確認できます。)
昭和50年代になり、南町に「誠 史 堂模型店」、さらに本町には「マ コトラ ジコン」ができました。いずれも富高新町の商店街(メインストリート)にあり、両店舗ともに規模はそれほど大きくないものの、店内の壁一面にうずたかくプ ラモの箱が積み上げられているさまは、入店した当時の子供たちの心をワクワクさせたものでした。「誠 史 堂模型店」は表の看板に昭和50年代前半当時の流行であるスーパ ーカーのイラストが描かれてあり、店内の壁紙にもスーパ ーカーの絵があしらわれていてポップな印象でした。また、主に昭和50年代後半に展開した「マ コトラ ジコン」は、ラ ジコ ンという店名ながらも模型全般を広く扱っていた印象で、やや古い宇宙戦艦ヤマ トの商品から、ブーム真っ最中のガ ンプ ラまで様々あり、新旧ファンを満足させる中身であったようです。残念ながら両店ともに昭和60年頃を境に営業を終了しますが、こうした小規模の新規店が一瞬の光芒を放ちながらも、いっぽうでは豊富な物量を誇るサ イ ガ模型さんが安定した営業を続けていたのが昭和末期における当地域の模型店事情といえるかもしれません。(※補足:プ ラモ デルは他にも、に し き堂さんでも適宜取り扱っていましたし、アス ティ日 向寿屋など大手スーパー店内の一角にもありました。)
平成に入り、「サ ンサ ンランド」「おも ちゃ &Hobby BA NBA N」「ハ ローマ ック」といった大手玩具店の参入が相次ぎました。当地域の玩具販売環境はめまぐるしく変化していきました。そのような中においても、40年以上に渡り多くの模型ファンに愛されてきた「サ イ ガ 模型」さんでしたが、2007年頃に閉業されたとの事です。
(終り)
<おわり>
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【富高エリア 模型店マップ】
※営業終了後、10年ほどオレンジペイントが保持されていた。その最後の時期(2016年2月頃撮影)。
ーおわりー