災害時水確保で改めて注目集まる「井戸利用」~「GeoValue」Vol.56より
【GeoValue ピックアップ!】
西日本の広域で甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害の被災地では現在も水道等のインフラが復旧せず、生活用水の確保にも困難を極めている地域が多数存在すると報道される中、自宅の井戸を開放する人々のニュースも報じられ、改めて井戸の果たす役割に脚光が集まっています。
こうした災害時の緊急用水の確保では、災害時に被災者等に生活用水等を供給する協定を市町村と締結する「災害時協力井戸」や「防災井戸」という名称で呼ばれる井戸があります。これは、阪神・淡路大震災以降、着目されてきたもので、水道インフラの復旧までの用水確保で井戸が重要な役割を果たすことから各地で進められています。
洪水被害時の用水確保の重要性から国土交通省が山梨県甲府市をモデルに洪水ハザードマップに防災井戸情報を重ねる図案を示す例もあります。(図参照:国交省資料より)
「災害時協力井戸」や「防災井戸」については、市町村がマップを作成しているケースも多くありますが、整備されず、住民が存在すら知らないケースも少なくありません。また、マップ化されていても住民らが知らず、そうした井戸がどこにあるのかを被災してから知るケースも少なくないといいます。
さらに、協力協定を結んでいても平時には使われていない井戸において、井戸が詰まっていて緊急時に使用できないケースもあるようです。
個人所有の井戸情報をどう管理するか、その情報をどう整理し、住民に周知するか、緊急時に使えるように平時の適切なメンテナンスをどう進めるかなどの課題が残っています。
震災や豪雨災害はいつどこで起きてもおかしくない状況になっています。口コミなどによる情報の確認も緊急時には必要な情報伝達手段ですが、被災後では混乱も多分に生じる可能性が高く、また被災後に使わせてもらうまでにも必要以上の時間を要してしまう可能性が少なくありません。
昨今では洪水や土砂災害、震災時のハザードマップが各戸へ配布されていますが、協定井戸情報も平時から伝わるような仕組みも必要かもしれません。
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※この記事は土地環境電子媒体「GeoValue」Vol.56(年間購読料¥19,440‐)より抜粋したものです。
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