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マヤ

『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI⑨ 三代目妄想劇場ショートストーリー

2018.07.25 22:00

公園に到着すると、真っ青な顔をしてマネージャーが巡査と話をしていた。




ポツポツと小雨が降ってきた。




車から降りた臣と隆二の元にマネージャーが走ってきた。




「申し訳ありません‼︎私が付いていながら、こんなことに…」



隆二が殴りかからんばかりに、マネージャーの襟元を掴んだ。



「どーして?どーしてたっくんが車を降りたんだ?」




「すみません‼︎お茶が飲みたい、自販機まで一緒に行くと言われてつい…」



隆二は愕然とした。



「…お茶⁉︎…お茶だって?」



「自販機の前で私の携帯が鳴り、ちょっと目を離した時に…」



殴りはしないだろうが、後ろから隆二の脇に手を入れ、マネージャーから引き離そうとした臣に、隆二が力なく寄りかかってきた。



「俺が…水筒を持たせてたら、こんなことには…」



マネージャーの襟元を持つ手も、力なく離れた。



「隆二くん‼︎申し訳ありません…!

取り返しのつかない事を…」



マネージャーの肩を直己が軽く叩いた。



「そんな反省してる暇があったら手分けして探そう!まだ行方不明になったとは限らないんだ」



「…す、すぐに公園の中や周辺をくまなく探しましたが、どこにもいないんです…」



「隆臣くん一人なら、あんな数分でそんなに遠くまで行くなんて考えられません!」



臣の腕の中でうなだれていた隆二はハッと我に返り、公園内に向かって走り出した。



「隆二っ‼︎…落ち着け!一人で行くな…」



臣の制止も間に合わず、すぐに姿が見えなくなった。



「今は何を言っても無駄だ!俺らも手分けして探そう!」



直己が手早く全員を四方に振り分け、みんな散り散りに走り出していった。



「隆臣ーぃ!」



「隆臣くーん‼︎」





「たっくーん‼︎隆臣ーぃ‼︎…パパだよー!……返事してーっ‼︎たっくん…」





だんだんと大粒の雨に変わり、公園内や商店街も人影が少なくなっていく。



臣の心に、言いようのない不安が押し寄せてくる。





ーまさか…誘拐⁉︎





ー隆臣!どうか、無事でいてくれ!





つづく